もしも箱と話せたら■アースダンボール通信11月号■2016年11月号
もしも箱と話せたら、
僕はあのダンボール箱の話を聞きたい。
もう18年も前に庭に埋めた箱。
夢の中でもいいから出てきて欲しい。
そう思い続けて何年か経った時、
一度だけ、夢に出てきてくれた。
(´o`)п(´o`)п(´o`)п(´o`)п(´o`)п
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ZZZZZZzzzzzzz・・・・・・
『ご主人、、ご主人、、お久しぶり、、元気そうね・・』
『あ、、、お前、ダンボール箱、、どうして、、ここに?』
『うん、ご主人が、どうしても私と話をしたそうだったから』
『うん、そう、そうなんだよ。聞きたいことが、いっぱいあるんだよ』
『そうね、、じゃあ、どこから話せばいいかしら・・・?』
箱は、静かに自分の生涯を語り始めた・・・
『 私はダンボール箱。名前は、つけてもらえなかったの。
私が、ご主人と一緒に過ごしたのは2年間くらい。
ご主人の友人のおうちでお野菜を運んで保管されていた私を、
その友人からお野菜と一緒にご主人が貰った時だったの。
その夜、ご主人は私を車の後部席に置いて、家路についていた。
突然、ご主人は50メートルくらい先の路上に何かを見つけて、
車を止めて車の外に出て行った。しばらくして戻ってきて、
今度は私からお野菜を出して、私を車の外に持ち出した。
そして怪我をして動けずにいた一匹の猫を、私にそっと入れ、
今度は私を助手席に置いて、再び家路についたの。
どうやら、その猫は車にひかれて足を骨折していたようだった。
運転中、ご主人は何度も私の蓋を開けて中の猫を見てたわ。
家に着いたご主人は、猫を入れたまま私をそっと部屋の片隅に置いた。
___________
翌日、ご主人は私ごと、猫を動物病院に連れて行った。
やっぱり足の骨折だった。
ご主人は、猫の怪我が治るまで自分の部屋で面倒を見ることにしたの。
ご主人は27才、男性、独身。家族と住んでいたんだけど、
その家には室内犬が居たから、猫はご主人の部屋に置くことになったの。
どうせ猫は私から出られないから、丁度よかったんだけど。
日中、ご主人が仕事に行っている間、私は猫と二人だけで過ごした。
猫はほとんど寝てたけど、時折体をずらしたり、時折鳴いてみたり、
とっても静かな時間が流れていったわ。
ご主人はいつも帰ると、真っ先に私の蓋を開けて猫に声をかけた。
『ただいま、元気にしてたか・・・?』って。
猫もそれに応えるように、『にゃあ~』と返すようになったわ。
元々人に慣れてたから、たぶん誰かに飼われていたんだと思う。
___________
10日くらい経った頃、
足の骨も少しづつくっついてきて動けるようになってきて、
私からも自力で出られるようになって、日中は自由に過ごしてた。
でも、寝る時は昼も夜も"私の中"って決まってた。
それから1ヶ月くらい経った頃、ご主人は猫の飼い主を探す為に、
週末になると猫を拾った近辺の家を、写真を見せながら一件一件回ったの。
でも結局、3週間くらいそれをしても飼い主情報はなくて、
ご主人は改めてその猫を飼うことに決めたの。
実は私もそうして欲しいと思ってたから、すごく嬉しかったんだ。
だって、猫も私の事好きみたいだったから。
その日から、猫の名前は『ニャアコ』になった。
___________
ニャアコもすっかりご主人の家に馴染んで半年が経った。
ニャアコの寝床は相変わらずずっと私だったし、
さすがに私もだいぶボロボロになってきて・・・。
ご主人はペットショップで立派なケージを買ってきた。
遂に私もお役御免かな・・・とその時は思ったわ。
でも、ニャアコはそのケージで寝ようとはしなかった。
それどころか、次の"ごみの日に出される待ち"、の私を見つけて、
私の中に入ろうとしたりした。
ご主人が私を部屋に戻すと、ニャアコは安心したように私の中で眠った。
やっぱり、私じゃなきゃダメだったんだよね!
その後も、代わりのダンボールさんが何箱かやってきたけど、
誰もニャアコのおめがねにはかなわなかったわ。
補修に補修をされ続けて、今日までニャアコの寝床役を私が務めたの。
でも、私もいつまでこのままいられるだろう・・・?
___________
ニャアコと出会って1年くらい経った頃、
ご主人は実家を出て一人暮らしを始めたの。結婚するんだって。
ニャアコと私はそのまま、ご主人の実家で暮らした。
そこからの1年は、ごくごく普通の家に住むごくごく普通の飼い猫と、
ごくごく普通よりはかなりボロボロの私で、とっても楽しく過ごした。
ご主人の家族はニャアコをかわいがって、私の補修もずっとしてくれた。
私はダンボール箱、
箱だけど、いつまでもずっとこうして暮らしたい。
私もニャアコが大好き。ご主人も、ご主人の家族も、みんな大好き。
だから、ずっとずっとみんなと一緒にいたい。
でも、ご主人が最初にニャアコを動物病院に連れていった時、
病院の先生が私の中のニャアコを撫でながら、こう言ってたの。
『この子は、あまり長く生きられないかもしれませんね』って。
骨折以外にも、悪いところがあったらしいの。
先生の予想、当たってた。今それを思い出した・・・。
___________
ニャアコが来て2年くらい経ったある夜遅く、
ニャアコの容態が急変した。
それまでは特に変わった様子もなかったから、とても突然だった。
ご主人のお母さんとお姉さんが、私とニャアコを病院に連れて行った。
でも、ご主人はすぐに来れなさそうだった。
その時、ご主人の奥さんのお腹には赤ちゃんが居て、急に産気づいて、
ご主人は奥さんを産院へ連れていくところだったの。
私たちが動物病院に着いてから二時間後くらいに、
奥さんを産院へ送り届けてからこっちに向かったご主人が駆け付けた。
でもその時、
私の中には、冷たくなったニャアコが横たわってた・・・。
『・・間に合わなかったか、、、』ってご主人はぼそっと言った。
動物病院を後にして、私たちはそれぞれの家に戻った。
ニャアコ、死んじゃったのね・・ダンボール箱の私にもそれがわかった。
___________
その翌朝ご主人から、赤ちゃんが無事に産まれたと電話があった。
昨日の夜、ご主人が動物病院から家に戻るとすぐに、
『おめでとうございます! 元気な女の子ですよ』
という産院からの電話があった、ってご主人が言ってた。
ニャアコが死んじゃって、その後すぐに赤ちゃんが産まれたから、
"悲しさと嬉しさで、その時の感情が今でもよく思い出せない、
なんで、どうして同じタイミングなんだよ、何か意味があるのか"
って、ご主人はやるせなさそうに言ってたわ。
でも、私も同じよ。だって、ご主人の赤ちゃんは私も嬉しいけど、
ニャアコとの時間は、ご主人より私の方がずっと、長かったんだから。
ねえ、ご主人、
あの時、私をニャアコと一緒に庭に埋めてくれて、ありがとう。
私、ずっとニャアコと一緒に居たい、って思ってたの。
それと、、ニャアコ、ご主人の赤ちゃんの事もわかってたみたい。
楽しみにしてたのよ。
じゃあね、ご主人。
ご主人とお話しするのは、たぶん、これが最初で最後・・・』
FIN
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【編集後記・へんしゅうこうき】
このお話は、二年くらい前にこのメルマガで6ヶ月連続掲載した
『僕と猫とダンボールと』を、今度は箱だけの視点から、
メルマガ1号分のダイジェスト版に再編集したものです。
18年前の私の経験談(夢以外は^^;)でもあるのですが、
あの時、箱もニャアコと一緒に庭に埋めてあげました。
箱が、それを望んでいるような気がしたんです。
娘の誕生日はニャアコの命日。
今でも毎年娘の誕生日には、ニャアコとボロボロのダンボール箱と、
産まれたばかりの娘の顔を、思い出します。
・・・・・・・・・
で、そんな私も今じゃみんなの箱屋さん! ですから、、、
箱たちの人生も幸せなものであって欲しいと、
そう思うんです。
最後までお読み下さり、ありがとうございます。
m(__;)m
11月某日 メルマガ編集長 やまぎし
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