ひとつ、またひとつ■アースダンボール メルマガVOL69■2019年8月号
彼女の名前は美佐子さん。64才。
長年勤めた缶詰工場の事務職を、もうすぐ定年退職する。
職場のみんなからは"お母ちゃん"という愛称で呼ばれていた。
そんな美佐子さんには定年後にやりたいことがあった。
それは、『ダンボール工作』w( ̄△ ̄;)w
数年前、たまたま地元デパートで見かけたダンボール工作の展示会・・・
"えええ!? これ、本当にダンボールなの!?"∑(=゜ω゜=;)
質感、シルエット、ディテール、風合い、それから・・・
どれもこれもが美佐子さんの感覚を一瞬で凌駕したほどの衝撃だった。
それ以来、いつか自分もやってみたいと思うようになった。
定年後の楽しみの一つと言えば単純だが、本当にそんな感じだった。
それが、まさかあんなことに発展しようとは・・・
(´o`)п(´o`)п(´o`)п(´o`)п(´o`)п
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定年退職の翌日、美佐子さんは早々にあるダンボール工作教室へ向かった。
数年前にデパートで衝撃を受けた展示会の作家さんは、
調べてみるとその世界ではかなり有名なダンボール作家さんだった。
しかも意外と近くにお住まいで、更に工作教室も開いてた!!
美佐子さんは少し緊張した面持ちで教室の扉を開いた。
中には沢山の生徒さん達が自分の作品と向き合っていた。
『こ、、こんにちは・・・』(*゜ー゜*)
それに気が付いた一人が美佐子さんに声をかけてくれた。
『こんにちは、いらっしゃい。どうぞ中に入って』(*'-'*)
(あ、ネットで見た作家さん、先生だ!!)
美佐子さんは感激して、少し舞い上がった調子で話し出した。
『あの、このお教室、こんなおばちゃんでも大丈夫かしら??』(^▽^;)
そのセリフにみんながプっと吹いてしまい、その場が一気に和んだ。
最初の一言で美佐子さんはみんなに馴染んでしまった。
(´o`)п(´o`)п(´o`)п(´o`)п(´o`)п
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夏休みということもあって生徒さんは小学生から50代まで、
とても幅広い年代だったが、美佐子さんは一気に最年長になった。
そしてここでも"お母ちゃん"というニックネームがついてしまった。
でも、美佐子さんはそれがとても嬉しかった。
美佐子さんが最初の作品に選んだモチーフは "風車" だった。
先生のレクチャを受けながら、
ひとつ、またひとつ、
線を引いて、切って、貼って、また切って、また貼って・・・
数日かかって最初の作品を創り上げた。
お世辞にも上手ではなかったが、とてもあたたかな風合いだった。
『わああ、お母ちゃん、上手~!!』ヽ(*'∀`*)ノ
『うん、ほんとステキ!初めてとは思えないくらい!』(n´v`n)
"子供達"がみんな、美佐子さんに声をかけてくれた。
すると、その一人がこんなことを言った。
『ねえお母ちゃん、これ、SNSにアップしなよ。ウケルよ!!』( ~∀~ )
『ええ?・・エス、エヌ、エス・・・??』(・_・?)
『え!?お母ちゃん、SNSやってないの??』(*゜o゜*)
他の子供達も集まってきた・・・
『じゃあ教えてあげるからやろうよ。ツイッターとか!!』Σ(`∀´ノ)ノ
『いやいや、ここはフェイスブックでしょ!』(=`^´=)
『何言ってんのよ!この風車はどう見てもインスタ向きよ!!』ヽ(^д^ ;)ノ
美佐子さんは子供達の勢いに押されツイッターを始めることにした。
みんなに教えてもらいながら、
ひとつ、またひとつ、
登録を進めて、アカウントを作って・・・
子供達にフォローされたりフォローしてみたり。
いいねしたり、リツイートしたり、作品を画像付きでツイートしたり。
生徒達は年代関係なくみんな仲が良く、美佐子さんもとても楽しかった。
『ところで先生のアカウントって、うわ!フォロワー8万人、すご(^▽^;)』
『ねえ、ところでお母ちゃん、なんで風車なんか作ったの?』(*^-^)
『ああ、、うん、そうね、なんでかしら?なんとなく、ね・・』( ̄ε ̄;)
こうしてまたひとつ、美佐子さんの世界は広がっていった。
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数ヶ月が経ち、美佐子さんは相変わらず風車ばかりを作り続けていた。
でもそのバリエーションは広く、それぞれの風車に個性があった。
ただ単に牧歌的とか情緒的とかいうことだけではなく、
日本的な繊細さや優しさもある、あたたかで癒しのある作風だった。
そんな美佐子さんに、先生がこう言った。
『今年のデパート展示会に美佐子さんの作品も出そうよ!!』(⌒-⌒)
『えええ!!??ほ、本当にいいんですか?』∑(゜Д゜)
それは、美佐子さんが衝撃を受けたあのデパートの展示会。
美佐子さんは今まで以上に心を込めて作品に打ち込んだ・・・
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展示会では、美佐子さんのあたたかな風車の世界観に注目が集まった。
美佐子さんの作品に魅せられた人達はこぞってスマホで写真を取り、
ツイッター、フェイスブック、インスタグラムなどのSNSに投稿した。
そしてそれらの投稿はじわじわと、とても確実で力強く拡散された。
『すげえ、これいい!!』(ノ´▽`)ノ
『ステキ、とってもあったかい作品!!』(o^-^o)
『なんかオランダ行きたくなった!』o(゜▽゜o)
などのコメントやいいねが沢山ついていた。
それを見た"子供達"も、
『お母ちゃん、お母ちゃん、すごいよ、お母ちゃんの作品、
みんながいいねって言ってくれてるよ!!』\(^▽^)/
と、みんなが自分の事のように喜んでくれた。
美佐子さんはそれが本当に、本当に嬉しかった・・・
(´o`)п(´o`)п(´o`)п(´o`)п(´o`)п
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そして遂にその時が来た・・・!?
ツイッターで会社の公式アカウント @hakoshokunin を運営している、
(株)アースダンボールというダンボールを扱う会社のSNS担当者が、
ツイッターで美佐子さんの作品を見つけた!
担当:『社長、この風車、めっちゃよくないですか?
みんなもめっちゃいいってツイートしてますよ』( ̄□ ̄;)
社長:『うん、いいねえ、完成度も高いけど、なんかあったかい感じだね』( ̄ー ̄)
担当:『そうなんですよ、なんかあったかいんですよ』(^ー^*)
社長:『ねえ、ツイッター通じて作家さんご本人に連絡取れない?』( ̄ー ̄)
担当:『・・・て、言いますと?』(・_・?)
社長:『コラボ、したいと思わない?』( ̄ー ̄)
担当:『同感です。実は私もそう言おうと・・・
しゃ、社長、なんかニコニコ、いやニヤニヤしてませんか?』(*"ー"*)
社長:『そういう君こそ・・・何を考えておる、越後屋・・・』( ̄ー ̄)
担当:『お代官様と、同じでございますよ・・・ふっふっふ、
あ、いや、なんかマジでワクワクしませんか?』(^▽^;)
社長:『する!! するよね!本当にいい風車だよ、これ!』( ̄ー ̄)
こうして、ツイッターアカウント担当は美佐子さんにDMを送った。
驚いた美佐子さんは先生に相談した。
『ああ、アースダンボールさんか。私もよく知ってる会社だよ。
あそこの社長さん、実は知り合いなんだよね。
とってもいい会社だよ。話だけでも聞いてみたら』(-´∀`-)
『せ、先生のお知り合いの社長さんの会社??』(^▽^;)
_____________
そして、
美佐子さんとアースダンボールの営業担当は電話で初めて話した。
これは、その時の会話の一部を抜粋したものです。
アース担当:
『ところで、美佐子さんの作品を初めて見た時、
とってもあったかいな~って感じたんですけど、
どんなことを想って創られた作品なんですか?』(*´U`*)
美佐子さん:
『私と主人の新婚旅行はオランダでした。そこで見た風車達がとても素敵で、
お互いに"また一緒にここに来たいね"って言ってたんです。
そんな主人も10年ほど前に病気で亡くなったのですが、
亡くなる直前に、たぶん意識もほとんどない中で、
"あの風車、君とまた見たかったな"って、うわごとで・・・
だから・・っていうか、主人の想いを少しでも叶えたくて、
ううん、私の想い、だったのかな?
主人の一周忌の後、私はもう一度オランダに行ってきたんです。
そこで迎えてくれた風車達は・・・
あの時のままで・・・
とても優しくて・・・
とてもあったかくて・・・
まるで、主人と一緒にまたここに来れたって、そう思えたんです。
風車達が私と主人に"やあ、また会えたね"って言ってるみたいだった。
いつも、その時のことを想って創ってます』(⌒-⌒)
FIN(このお話は、結構リアルっぽいですがフィクションです)
(´o`)п(´o`)п(´o`)п(´o`)п(´o`)п
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【編集後記・へんしゅうこうき】
何を始めるにも遅いということは無い、
死ぬまでずっとチャレンジャーでいたい、
個人的にはそんなテーマもあるにはあるのですが、
今回はもっともっと広い意味で、これからの日本が、
子供もお年寄りも母国に希望や誇りをもてるような、
すばらしい国であって欲しいとぼんやり思ったことを、
美佐子さんの人生をお借りして描かせて頂きました。
もしダンボールがその役目の一端を担えるなら、
とても幸せですヾ(=^▽^=)ノ
今号も最後までお読み下さりありがとうございました。
m(__;)m
8某日 メルマガ編集長 やまぎし
追伸
久々に社長とのアングラ芝居・・・緊張しました( ̄ー ̄;
(´o`)п(´o`)п(´o`)п(´o`)п(´o`)п
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