ロゴマークは見た!!■アースダンボール メルマガVOL85■2020年4月号-2
子が親を超えてゆく瞬間を、
親と子がわかりあう瞬間を、
一番やさしい気持ちで見守っていたのは、
箱に印刷された "ロゴマーク" だったのかもしれない。
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オヤジが独立してTシャツ屋さんを始めたのが20年前。
オヤジが35才、僕が5才の時だった。
やばいTシャツ屋さん、かどうかはわからないけど、
かなりな超独自路線のTシャツ屋さんだったと思う。
なんせオヤジの好きな言葉が、
"男は背中で語るもの" とか "子は親の背中を見て育つ" とか。
そう、一言で言うと背中好き・・・
そのテーマをまんま中心に添えてしまったTシャツ屋さんだった。
デザインのほどんどは背中が中心。背中で物言う系だった。
そんなオヤジの店の一番の特徴、それは店のロゴマーク。
独立当時のオヤジの後ろ姿を全黒シルエットにしちゃったデザイン。
まあ当然と言えば当然、これ以外に無いデザインなんだろう。
僕にはその良さは全く理解できなかったけど、オヤジはいつも
『うちの店はこのロゴがあってこそなんだ。かっこいいだろ!!』
と自信満々のドヤ顔で語っていたのだけはよく覚えている。
このロゴマーク、
確か独立当時、お客様や販売店に納品する段ボール箱を新調する時、
ぜひロゴも入れたいって作ったものだ。
オヤジは5歳の僕を連れてあるダンボール屋さんに行って、
その時に"なんだかんだすったもんだして出来たロゴ"
っていう記憶だけはある。
ただ、親父の言う通りそのロゴがどんなに偉大なのかを、
僕はその20年後に知ることになる。
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店を開業して20年が経ち、親父は55才、僕は25才になった。
僕はその間に結婚して子供も生まれたが、
ファッションに全く興味ない僕はオヤジとは別業界で働いていた。
そんなある日・・・
オヤジが倒れて入院したという連絡があった。
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原因は長年の過労だった。大きな病気でなくて良かったが、
店は2週間ほど休業しなければならなかった。
僕は休店による事務処理や諸々の手配の手伝いを買って出た。
そこで僕は初めて、オヤジのお店の真の凄さを知った・・・
オヤジは仕事の合間にブログやSNSなんかもマメに更新して、
そこでのお客様とのコミュニケーションも大事にしていた。
僕は店のホームページや各SNSに休店の案内を出した。
すると・・・・・・
あれよあれよという間に、お客様からのメッセージが殺到した!!
『店長、大丈夫ですか!?早く良くなって下さいね。』
『店長働きすぎ!! たまにはゆっくり休めって事ですね^^』
『休店しちゃったら俺の背中が泣いちゃいます。早く復活して!』
『今度新作出たら必ず買うから、早く元気になってね!』
『復活後の店長の背中写真、ブログにあげるの楽しみにしてます!』
などなど、沢山、めいっぱい、オヤジへの応援メッセージが届いた。
そして驚いたことにメッセージを下さった方々のアイコン写真、
みんな、オヤジの店で買ったTシャツを着た後ろ姿写真ばっかり!!
おいおいおいおい、なんなんだよこれ・・・
みんなそんなに背中Tシャツ好きか、それともオヤジが好きなんか、
みんなそんなに背中で語りたいんか、セナッカーが流行語になれるわ。
オヤジも店も愛され放題、慕われ放題、応援され放題じゃねえか!!
しかも、しかも!!
あのロゴを印刷したTシャツ来てる人めっちゃ多い!!!
オヤジ、あのロゴまで堂々とTシャツ商品にしてたんか!!
しかも一番人気!? 何年も一定数売れ続けてる超ロングセラー!!
ハードロックカフェかUCLAのデザインTシャツに匹敵するわ!!
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なるほど・・・
あのロゴTシャツをまず買ってから他デザイン行く人が多いのか。
"ここ来たらまずは塩味からな"っていうラーメン屋みたいだな。
でもまあ、なんていうか、ふぅ~、皆さん楽しそうだ(^~^;)
その夜、ずっと僕は眠れなかった。
いや、朝までずっと考えていた。
そして決めた・・・
明日、見舞いに行ってオヤジに言おう。
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『なあオヤジ・・・俺にもTシャツ屋さん、できるか?』
『ああ?いきなり何言ってんだ。Tシャツ屋なめんじゃねえぞ』
『入院しても口の悪さは同じだな。でもなオヤジ、その背中、
今ベッド背負ってるその背中、あのロゴの背中じゃないぜ。
あのロゴの背中に見合う奴が、あの店を守らなきゃな。
俺、本気だ』
『ああ??俺の背中だってまだお前には負けねえよ!!
と言いたいが・・・このざまじゃな・・・(;^△^)
ま、お前が本気だって言うならまずは見習いからだ。
ただその前に、ある人にその許可を貰いに行く。
退院したらその人のところに行くから付き合え。』
『はあ!?許可・・・? ああ、わかった。』
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退院後、僕とオヤジはあるダンボール屋さんへ行った。
開店当初から店の箱をお願いしているダンボール屋さんだ。
僕達が着くと、営業の中家(なかや)さんが出迎えてくれた。
『社長、いつもどうも! 今日は、どうしたんですか?
っていうかもうお体いいんですか? 入院したって聞きましたよ』
中家さんは親父を "社長" と呼んでいた。
『中家さん、ええ、もうすっかり。今日は中家さんに用があって』
『私に?? ああ、じゃあ中へどうぞ。
ところでご一緒の方は、息子さん、ですよね??』
『そうなんです。今日はせがれも一緒で・・・』
『社長が初めてここに来た時、一緒に居た息子さんですよね。
懐かしいな~。ご立派になられましたね~~!!
で、御用っていうのは?』
『ええ、それなんですがね。このせがれが店を継ぎたいって。
『いい話じゃないですか、良かったですね、社長!』
『それでね、ちょっと、その、変な話なんですがね、
店を引き継ぐのと、あのロゴを引き継ぐのは、私の中では別の問題でね。
店を引き継ぐのはいいとしてね、
あのロゴを引き継ぐ許可は、中家さんに頂きたいんです』
『ええ、、ちょ、、え? な、なんで私の・・・?』
『中家さん、20年前に初めて来た日のこと、覚えてますか?
いきなり来て"店のロゴを印刷したダンボール箱作りたい"
っていう私に驚きながらも中家さんは親切に対応してくれた。
でも私ときたらデザインもない、素材もない、案もないで。
そしたら中家さん、
"社長の背中、かっこいいからシルエットにしてロゴにしましょうよ"って。
いきなりカメラ持ってきて背中の写真バンバン撮り始めて。
私も段々その気になっちゃって、ああでもないこうでもないって。
中家さんも最高の1枚が撮れるまで何枚でも撮るって言って。
そのうち他の従業員さんもみんな巻き込んで意見出してくれて。
やっとの思いで撮れた1枚をシルエットロゴに加工までしてくれて。
中家さん、あのロゴはあなたが生み出してくれたんですよ。
あのロゴが無ければ、今のうちの店はないんですよ。
私はあの時からずっとそう思ってたんです。
だから、ロゴを引き継ぐのは中家さん、あんたの許可が欲しい。』
『しゃ、社長。そんな風に思って下さってたんですね・・・』
『どうですか?認めて貰えますか?ほら、お前からもお願いしろ。』
僕は中家さんに心から、深々と頭を下げた。
『しゃ、社長、息子さん、頭上げて下さい、立場逆ですって!
じゃあ、失礼を承知で。
息子さん、一度だけ、立って背中を向けて頂けませんか?』
僕はTシャツ姿になり、中家さんに背中を向けた・・・
中家さんはしばし見つめた後、静かにつぶやいた。
『あの日の、社長と同じ背中だ・・・』
中家さんの目から、涙が一つこぼれた。
『息子さん、いや若社長、このロゴを宜しくお願いします!』
今度は中家さんが深々と頭を下げた。
その瞬間、事の次第を見守っていた周りのスタッフから拍手と歓声が沸いた!!
FIN
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【編集後記・へんしゅうこうき】
子が親を超えてゆくという事、
親と子がわかりあうという事、
お客様と企業が信頼しあう事、
・・・ロゴマークとは企業者の想いは勿論、
そんな人達の想いも時間と共に加わっていきながら、
人のように成長していくものなのだと思います。
だからもしあなたが将来、
あなたの会社やお店のロゴを何かの媒体に印刷する時は、
ロゴマークを大切に考えてくれる会社に依頼して下さい。
そのロゴマークがより輝くことを、私達は願っています。
最後までお読み頂きありがとうございました。
m(__;)m
4月某日 ライティング 兼 編集長:メリーゴーランド(やまぎし改め)
追伸
中家さんが居るのはどこのダンボール屋さんとは言いませんが、
中家さんはこの中に居ます(^^)↓↓
https://www.bestcarton.com/profile/staff.html
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