ヤンキー彼女が微笑む時■アースダンボール メルマガVOL88■2020年6月号
母は強し。
多分、いや絶対そのはずなんだと思う。
だけど私は気が弱い。
母親になった今でも、気が弱い。
でも、あの子は私よりもずっと強く純粋だった。
ダンボール箱を持っていた、ちょっとヤンキーな女の子。
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あれはとても風が強くて寒い日だった。
私は一歳になる息子を抱きかかえてバスに乗る用事があった。
寒いね~、早くバス来ないかな~、ね、と私は息子に話しかけた。
息子は機嫌よく笑っていた。
バスが来て乗り込むと、車内は少し混んでいた。
"こんな混んでる中でこの子がぐずったらどうしよ・・・"
いつも私はまずそんなことを考えてしまう。
なんとか座りたいと思い車内を見回すと
一つだけ、二人掛け席の通路側が空いていた。
私は『すみません』と言いながら人をかき分けて席に向かった。
そしてなぜこの席だけ空いていたのかが分かった。
窓際には、、、
めっちゃヤンキーみたいな高校生くらいの女の子が、
めっちゃイヤホンから音洩れる大音量で音楽聞いて、
めっちゃ不機嫌そうな顔で窓の外を見て座っていた。
そしてなぜか折り畳んだダンボール箱を持っていた。
"誰もここに座んなオーラ"が私には見えた・・・気がした。
私は席の前で立ち止まってしまったが、それも逆に不自然だ。
数秒経ち、その女の子がチラっとこっちを見た。
一瞬だけど、抱いている息子に視線をやったように見えた。
そして彼女は片耳のイヤホンを取ってこう言った。
『空いてんだから座りゃいいだろ』
彼女はまた窓の外を向てしまった。
言葉使いはいいとは言えないが、どうぞと言っている・・・
『あ、ありがとうございます』そう言いながら私は座った。
"私、なんでお礼言ってるんだろ・・・?"
すると彼女はもう一度息子に視線をやった。今度はわかった。
そしてほんの少しだけ彼女の口元が緩んだような、気がした。
彼女はまた窓の外を向いてしまった。
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停留所をいくつか過ぎ、私の予感は的中した。
息子がぐずり始めてしまい、あやしてもあやしてもダメだった。
息子の泣き声は車内中に響いていた。
世間一般ではこんな風景はごく普通の事だとわかってはいる。
でも気の弱い私は"迷惑なんじゃないか"が勝ってしまう。
私は、次の停留所で降りてしまった・・・
ああ、この停留所周りになんもない・・・風強い、寒い、
次のバスまで30分・・・はあ、、
独り言をぶつぶつ言いながらうつむいていると、
『ねえ、ねえあんた!』
という声が後ろから聞こえた。振り向くと、
あのヤンキー彼女が立っていた。彼女は続けてこう言った。
『ねえあんた、なんで降りたんだよ。ここ、あんたの目的地じゃないだろ』
彼女の眼は怒っているようだった。怒る?なぜ・・・?
『え、あ、あの、えっと、この子が・・・』
『ああ?この子がなんだよ!泣いたから降りたってのかよ!』
『だ、だって、みなさんに迷惑・・・』
『ばっかじゃねえの!!』
『ば、ばかって、、、だって・・・』
『だってもなんもねえだろ!!
こんな寒いなんもねえとこでその子が風邪ひいたらどうすんだよ!
それより大事な事があんのかよ! 迷惑がなんぼのもんだよ!!』
私は黙ってしまった。少し混乱もしていた。
バス混んで、子供泣いて、迷惑で降りて、ヤンキー女の子に怒られて。
でも一つだけ理解できたことがある。
この子、私の息子を心配してくれている。
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『もういいよ』そう言いながら彼女は私達の風上に立ち、
持っていたダンボール箱を風に向かってかざした。
『な、、なにやって・・・?』
『ああ? なにって、風よけだよ、風よけ』
大きくないダンボール箱だけど、幾分風当たりが弱まった。
『あ、ありがとう・・・』(・ω`・、)
『べつに・・・』( ̄△ ̄)
しばらくして彼女は『イマイチ箱が小さいな』と言い、
箱のつなぎ目をビリビリ破り、面積を広げた。
『これならいいな』( ̄ー+ ̄)
風当たりは更に弱まり、暖かささえ感じた気がした。
彼女は時々振り向いて息子にだけ話しかけてくれた。
『どう?ダンボール、あったかいか?』とても優しい口調で。
息子の機嫌も良くなり時々ダンボールに手を伸ばして
『だ~んだ~ん、ぼ~う~、ぼんぼ~ん、、』と声を出して喜んだ。
いつの間にか30分が過ぎ、次のバスがやってきた。
彼女はそそくさとダンボールを畳んで歩き出した。
『ねえ、バス、乗らないの?』
『ああ?私の目的地、次だから。もう歩いていくからいい』
そう言ってスタスタ行ってしまった。
私が乗ったバスが歩く彼女を追い越し、彼女は見えなくなった。
__________
それから数日後。
彼女にもう一度会いたいと私は思った。ちゃんとお礼を言わなきゃ。
唯一の手掛かりはダンボール箱に印刷されていたロゴだけだった。
『(株)YAJIMABARAユニフォーム、だったかしら・・・』
ネットで調べ、私はその住所へ息子と行ってみた。
『あの、すみません・・・』
『はい、いらっしゃいませ~』40代くらいの女性が出てきた。
『あの、人を探してまして、高校生くらいの女の子なんですが、
その方がこちらのダンボール箱を持ってたもので・・・』
『え? あ、それ、多分ウチの娘だと思いますけど、、、
娘が何かご迷惑でも・・・?? すみません、、』
『いえ、違うんです。そうじゃなくて。。。』
『もう、あの子ったら・・・
派手なカッコして不機嫌顔でどう見てもヤンキーでしょ。
この間もね、お客様がダンボール箱だけ用意してって言うから
たまにはお店を手伝いなさいって、箱を持って行かせたんですよ。
そしたら約束の時間を30分も遅刻するし、
持って行ったダンボール箱も破いちゃうし、
理由を聞いても何も言わないしはぐらかすし、
まったく何を考えてるんだか・・・』ε=(・д・`*)
『30分?ダンボール箱? あの、それ、多分私のせいです』
『ええ・・・?』
____________
私はバスでの出来事を彼女の母親にお話しした。
あの時、娘さんが手伝いを断っていたら、
ダンボール箱を持っていなかったら、
娘さんが優しい女の子じゃなかったら、
今頃、息子は風邪をひいてしまっていたかもしれない、と。
娘さんは今、家にいないという事で私は失礼した。
帰りのバス停へ向かう途中、小さな公園があった。
天気も良く、小さな子たちが沢山遊んでいた。
ふと見ると・・・、子供たちに交じって彼女が居た。
ヤンキースタイルじゃなかったので一瞬わからなかった。
あの時の箱より大きいダンボール箱で子供達と遊んでいた。
子供達も『おねえちゃん、おねえちゃん』と楽しそうだった。
ヤンキー彼女とは別人に見えるくらい、かわいらしかった。
私はそっと近づいて彼女に声をかけた。
『ねえ、この間はありがとう』(*´v`*)
『あ・・・・』(〃゜д゜〃)
何かまずいところを見られたかのような、はにかんだ顔だった。
『子供、好きなんだね。今日もダンボール箱持ってきてるんだね。
それから、その、今日はおしとやかな洋服なのね・・・』
『あ、うん。子供ってさ、ダンボール好きみたいだから。
あの時はたまたまダンボール持ってただけ。
でもその子が喜んでたから、そうかなって思って。
ウチ、ダンボール箱山ほどあるし。
それにあのカッコじゃ子供も子供達の親もビビるし』。
『ふふ、この子がダンボール大好きって、私もあの時知ったわ。
そうだ、この子ががもう少し大きくなったらダンボールで一緒に遊んでくれる?』。
『え!?、ああ、うん、もちろん』(´∀`〃)
『ふふふ、約束ね』(*´∀`*)
FIN
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【編集後記・へんしゅうこうき】
もう数ヵ月も前の事です。強風が吹きすさぶ中、
何もないバス停でお年寄りが一人寒そうにバスを待っていました。
それを見た時、何故か少し切なくなって、
"こういう時、ダンボールじゃ何の役にも立たない"と思いました。
その後考え続けて、当たり前の簡単な答えにたどり着きました。
"そっか、ダンボールが何もできないんじゃなくて、
ダンボールが何の役に立つかは人の心が決めるんだっけ" と。
このメルマガを初めてもう足掛け8年になりますが、
登場人物にお礼を言いたくなったのは今回が初めてです。
彼女のような優しい女の子がいてくれて良かった。
ありがとう(〃´∀`)
最後までお読み頂きありがとうございました。
m(__;)m
6某日 ライティング 兼 編集長:メリーゴーランド
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