響け♪募金箱シンフォニー♪ -前編-■アースダンボールメルマガVOL156■2023年4月号
俺は5000万円当選の宝くじを、
街頭に立つ少女が持つ募金箱に入れてしまった。
神様は・・・一体俺に何をさせたかったんだろう?
だって、だって、だって・・・
5000万円の当たり券だぜえ!!
(´o`)п(´o`*)п(´o`*)п
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俺は鈴成駆(すずなりかける)28歳、サラリーマン。
5000万円当たってることが分かった時?
そりゃあもう!!
2度見、3度見、いや100度見しましたよ。
途中、何度か失神しかけましたよ。
多分、異世界転生しかけましたよ。
心を落ち着かせるために丸一日かかりましたよ。
で、たった一人の親友だけに打ち明けて、
"お祝いだ~!" とか言って日曜日の昼間から二人で飲んで、
めちゃくちゃ酔っぱらって、気持ちも大きくなって・・・
そんな時に駅前で数人が立って募金活動してるのを見かけた。
15歳の少女の移植手術費用の為の募金かあ。
数千万円かかるのか・・・なるほど・・・
うん、よし、今ならいくらかはできるぜ!!
酒効果50%、宝くじ効果40%、善意10%・・・
くらいの比率だったと思う。俺は募金しようと思ったんだ。
みんながプラスチック製の立派な募金箱を持つ中、
周りより幼い少女が一人だけダンボールの手作り募金箱を持っていた。
募金箱にはニッコリ笑った女の子の似顔絵?が書かれていた。
俺はその女の子に声をかけた。
『こんにちは、募金活動偉いね』
『はい、お姉ちゃんの手術の募金です』
『もしかしてこの絵はお姉ちゃん?』
『はい、お姉ちゃんです。私が描きました』
年は幼くもその受け答えは使命感と力に満ちていた。
『そっか、いい絵だね。少しだけど募金させてもらうね』
俺は財布に入った札を全部取り出した。5万くらいだったか。
でも投函口がかなり小さく札がそのままじゃ入らなかったので、
札を2回折って投函口にスッと落とした。
少しだけ重いその塊がコトンと箱の底に落ちた音がした。
『ありがとうございました』
少女がニッコリ笑ってお礼を言ってくれた。
"あ~今日はいい事しちゃったな~"なんて上機嫌な俺が、
当選宝くじを募金した札の間に挟んでいた事に気づいたのは、
翌朝の事だった・・・
(´o`)п(´o`*)п(´o`*)п
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それから半年が経った。
あの後、平常心に戻れるまで少し時間はかかったが、
そこはまあ、なんとか頑張ったとしか言いようがない。
心の中ではもうほぼ割り切れた。けどまだ完全じゃない。
完全に割り切るにはどうしても必要な事があった。
そんな時、突然あるニュースが俺の目に飛び込んできた。
"移植手術を待つ少女の募金箱に5000万円の高額当選券。
少女がいよいよ渡米!!"
あ、あの子だ・・・そっか良かった・・・
笑顔で旅立つ少女とそれを支えた家族や仲間達の写真。
そう、俺の心にはどうしてもこれが必要だったんだ。
記事には5000万円の経緯も少し書かれていた。
券の発見と当選確認後、念の為拾得物扱いとして警察に届けたらしい。
三か月の保管期限後、落とし主不在で正式に募金として計上され、
予定よりずっと早く目標金額に達し、かなり前倒しで渡米できた。
当初は5000万円の事を公表するかどうか悩んだが、
スケジュールのうんと早い繰り上げができた事への感謝と、
必ず元気になって帰ってくるという決意と、
その命で必ずお世話になった方々へ恩返しするという決意を、
どうしても今、応援してくれた全ての方にお伝えしたいと、
少女が公表を望んだそうだ。
それを知った俺は改めて気持ちを割り切ることができた。
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それから更に三年が経った。
今でも週末になるとあの場所ではよく募金活動が行われている。
移植を待つ人は他にも沢山いるんだよな・・・
その場所で募金活動を見かけた時には、俺は少しの募金と、
その場所の隣にある公園のベンチに腰掛けて、
募金活動の様子をぼ~っと眺めるのがルーティンになった。
あの子、元気になったかな・・・
ちょうどあの時の事を思い出していた時だった。
募金活動メンバーの一人の女の子がこちらにトコトコと歩いてきた。
『あれ、あの子、どっかで見た事・・・あ、あの子は!?』
To Be Continued ~次号へ続く~
(´o`)п(´o`*)п(´o`*)п
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【編集後記】
宝くじ、当たったことありますか?
私はありません。というかそもそも買った事がありません。
でも妄想したことは何度もありますよ。
〇億円当たったら、拾ったら、玉の輿とか、逆玉とか・・・
またその話題と並行して、"お金は稼ぐより使う方がうんと難しい"
という話もよく聞きます。価値ある使い方は、という事でしょうか?
実感としてはわかりませんが、何となくわかる気もします。
もしかしたら、私達が作るダンボールに、
そんな夢の一端を描いていらっしゃる人も居るのかもしれません。
貴方のその夢が叶ように願って、今日も頑張ってダンボール箱を作ります。
さて、彼に歩み寄って来た女性は誰なのか?その目的は?
次号もぜひ読んで頂ければ嬉しいです^^
最後までお読み下さりありがとうございました。
m(__;)m
ライティング兼編集長:メリーゴーランド