箱になりたい■アースダンボール メルマガVOL77■2019年12月号-2
12月のとある寒い日、私は一人、車で家路を急いでいた。
後部座席には少し大きいダンボール箱が載っている。
小学1年の娘へのクリスマスプレゼントを入れたダンボール箱で、
クリスマスまで娘にばれないようにしまっておく為の箱。
母親にとって娘の喜ぶ顔は何物にも代えがたいものだ。
私はそんな娘が喜ぶ姿を想像してウキウキしていた。
そして何度も後部座席のダンボール箱に目をやった。
でも同時に、自分の子供の頃を思い出していた。
後部座席のその箱が、あの時のダンボール箱とどこか似ていたから。
あの時とは、それは私が今の娘と同じ小学1年の頃、
今日みたいな12月の寒い日だった。
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私の両親は、私が小学1年生、兄が小学3年生の時に離婚した。
兄と私は父親と暮らすことになり、
母とは月に一度だけ会うことになっていた。
毎月第一土曜日の昼ごろ、母が車で迎えに来て母の家に行き、
一晩泊まって、次の日の昼ごろに父の元に帰る。
それが毎月、月一のスケジュールだった。
別に父の事が嫌いな訳では無かった。
でも私と兄は母の事が誰よりも大好きだった。
だから私と兄は毎月第一土曜日が楽しみで仕方がなかった。
一週間前、三日前、前日、当日の朝、お昼前・・・
私と兄は、父の前ではあまりはしゃぐ姿を見せないように、
『ママ、まだかな~、早く来ないかな~』
と、ウキウキソワソワして待っていた・・・
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母と過ごすといっても、たいそうなイベントごとは無かった。
母の家に着いて、母の手料理を食べて、
一緒にテレビを観たり、ゲームをしたり、お話をしたり。
本当にそれだけの過ごし方だった。
そして夜は布団を3つ敷いて、母を真ん中にして、
3人で川の字になって寝た。
私は少しでも母との時間を感じていたくて、
寝るもんか、寝るもんか、と頑張って話し続けたが、
いつも誰よりも早く眠りに入ってしまっていた。
そしてふっと夜中に起きるといつも母の布団にもぐり込んだ。
兄にばれないようにそおっと・・・
母はそんな私を抱きしめてくれて、私はまた眠りにつく。
これだけの事が、本当にただこれだけの事が、
私と兄には夢のような時間だった。
どんなに楽しいことをしても、どんなに楽しい場所に行っても、
もちろんそこが夢の国と言われる場所でも、
母と過ごす時間こそが、一番の夢の時間だった。
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そして朝が来る。
大嫌いな朝が。
昼には母とさよならしなければならないという、
夢から現実に引き戻されてしまう朝が、私は大嫌いだった。
だから毎回、朝になると私と兄のテンションは下がっていった。
今考えると、
そんな私達を見る母の方がずっと辛かったに違いない。
朝ごはんを食べて、少しゆっくりして、母が運転する車で父の元に帰る。
私と兄は、帰り道はいつも無口になった。
耐えきれなほどの寂しさが小さな体と心に容赦なく覆いかぶさってきた。
助手席で黙っていた私はふと、後部座席にあるダンボール箱に目をやった。
その箱は、母が私と兄へ買った洋服や手土産などを入れる箱で、
車を降りる際にいつも中身だけを私達に渡し、なぜか箱はまた持って帰る。
母は毎月毎月、同じ箱でそれを繰り返していた。
その時はその行動を不思議に思わなかったけど、
母はいつもその箱を大事そうにかかえていたのはよく覚えている。
それはまるで、箱を抱きしめていたようにも見えた。
『ママ・・・私・・・なりたい・・・』
私はか細い、聞こえないほどの小さな声でつぶやいた。
『え?なに?もう一回言って』
『ママ、あのね、私、あのダンボール箱になりたい・・・』
『え?なに?ごめん、も一回・・・』
『ママ、私、あのダンボール箱になりたいの!!!!』(」`Д´)」
『え? あ、、ああ、うん、そっか・・・』
『だって、だってあのダンボール箱になれば、
ママはまたこの箱を持って帰るでしょ。
そしたら、ずっとママと一緒に居られるでしょ・・・
帰りたくないよ、ママと居たいよ、う、うう・・・』
後にも先にも、こんなことを言ったのはこれが最初で最後だった。
その時の母の悲しそうな顔が目に焼き付き、
子供ながらに、こんなこと言っちゃいけない、とその時に思った。
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数年後に私が中学生になった頃、母は当時の事を少し話してくれた。
私と兄を引き取りたかったのは山々だったけど、
あの時は収入も少なく、私と兄を辛い目にあわせてしまうと思った。
そしてあの箱は、離婚するまで私と兄のアルバムをしまっていた箱で、
私達と離れる時に箱だけでも持って行きたかったのだと。
毎月、私達を車から降ろした後、寂しくて寂しくてどうしようもなくて、
運転できなくて、何度もあの箱を抱きしめて泣きはらしてから帰ったと、
そう話してくれた。
あの時はわからなかったそんな母の気持ち。
自分が母親になった今なら、少しわかる。
私はハンドルを握る自分の手と車の前方に視線を戻し、
軽く深呼吸をして意識を運転集中に戻した。
そしてもう一度後部座席の娘へのプレゼントの入ったダンボール箱に目をやり、
『ママ、安全運転で帰るからね、待っててね』
そう、独り言をつぶやいた。
FIN
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【編集後記・へんしゅうこうき】
人は誰でも、
誰にも話したことのない、誰にも話す事ができなかった、
そんな心に秘めた思い出を持っているものですよね。
ただ時々不思議に思うんです。
ダンボール箱って、
そんな思い出を知ってるんじゃないかと、
ばれてるんじゃないかと、
伝わってしまっているんじゃないかと。
わかった上で、優しく寄り添ってくれてるんじゃないかと。
そんな風にあったかく感じるダンボール箱。
きっと気のせいだと思うんですけどね・・・・
それでは、素敵なクリスマス&年末年始を!!
最後までお読み頂きありがとうございました。
m(__;)m
12月某日 メルマガ編集長 やまぎし
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