お兄ちゃん、おうち作って■アースダンボール メルマガVOL81■2020年2月号-2
ここは産婦人科の待合室。
私の姉に二人目の子供が産まれようとしています。
姉のご主人はまだこちらに来れないので、
私と、5歳になる甥っ子の二人で待っています。
姉は今頑張っている。
そして甥っ子も、私の想定外に頑張っていたんです。
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窓の外にはしんしんと降る雪が見える。
『こんな雪の日に産まれてくるのもきっと思い出になるね』
私はそんな言葉を口にしながら甥っ子の肩をそっと抱いた。
『ねえおばちゃん、あのね・・・』
『なあに?』
『あのね、うまれるのは女の子なんだって』
『そう、じゃああなたには妹ができるんだね』
『うん、妹ができるの。ぼく、お兄ちゃんになるんだって』
『そうだね、お兄ちゃんだね』
『あのね、ぼく、いいお兄ちゃんになるよ』
『そうだね、いいお兄ちゃんにならなきゃね』
『ぼく、朝は一人でちゃんと起きれるようになるよ』
『うん、いいねえ』
『それからね、一人でちゃんと歯も磨けるようになるよ』
『うんうん、それもいいねえ』
『それからね、ごはんものこさないで食べる』
『そうだね、好き嫌いしないで何でも食べようね』
『それからね、パパとママの言うこともちゃんと聞く』
『そうだね、まあそこはある程度・・・』
『お手伝いだってちゃんとやるよ』
『うん、パパもママも大助かりだね』
『あとね、こまった人がいたらたすけてあげるんだ』
『うんうん、それおばちゃんも賛成~!』
『あとね、だれかがいじめられてたら、たすけてあげるんだ』
『ほおお~、おばちゃんがいじめられたら助けてね』
『それからね、妹もまもってあげるんだ』
『そうだね、そうだね、お兄ちゃんだもんね』
それはまさに、
もうすぐ妹ができる、兄になる一人の男の決意表明に聞こえた。
『おばちゃん、それからね、おばちゃんちにダンボールある?』
『だ、、、ダンボールう?あ、あると思うけど・・・』
『おおきいの、ある?』
『どのくらい大きいの?』
『あのね、ぼくがはいっちゃうくらいの』
『ある、、と思うけど・・・何に使うの?』
『あのね、おうち作るの』
『お、お家!?』
『うん、おうち。ダンボールのおうちつくるの』
『へええ~、ダンボールのお家かあ~。いいな~』
『ぼくんちね、ちっちゃいダンボール箱は沢山あるんだけどね、
大きいのがないの。大きいおうちをつくりたいの』
『なんで大きいのがいいの?』
『あのね妹につくってあげるの。妹がはいってあそぶおうち』
『そっかあ、妹に作ってあげるのね。きっと喜ぶね!』
『妹、よろこぶかな~?』
『うん、きっと喜ぶよ。頑張ってね。』
『うん、おばちゃん、ありがとう!』
そんな甥っ子の話を聞きながら、
5歳でも、産まれてくる妹の為に何かをしたいなんて考えるんだ・・・
普通5歳っていえば、自分の事ばかり考えるもんじゃないかしら。
そんな風に思っていた。
そして『なんで妹に作ってあげたいの?』と聞いた。
甥っ子は『うううん・・・』と考え込んで黙ってしまった。
当たり前だ。なんて野暮なこと聞いちゃったんだろう。
でも、甥っ子は一言こう言った。
『ママとおばちゃんも、小さい時にダンボールのおうちで遊んだんでしょ』
その時、私の幼い頃の記憶が蘇ってきた。
そうそう、お姉ちゃんと一緒にダンボールハウスでよく遊んだっけ・・・
まあ、私はちっちゃくて何もできないから作るのはもっぱらお姉ちゃんで、
私はお姉ちゃんの作る家に入ってただキャッキャと遊ぶだけだったけど。
楽しかったなあ、、、好きだったな~、お姉ちゃんが作るハウス。
あの頃のダンボールの、紙の匂いまでもがはっきりと蘇ってきた。
お姉ちゃんも『あの頃はなんだか、あんたが喜ぶ顔が私も嬉しくてさ~』
なんて、大人になってから言ってたっけ。
そっか、お姉ちゃん、あの頃の話をこの子に聞かせてたのね・・・
ママから聞いた楽しい思い出話を、兄妹ができる自分に重ねてるのかも。
『おばちゃん、ぼくねむい・・・』
待ち疲れとしゃべり疲れの甥っ子は、
そのまま待合室のソファーで眠ってしまった。
その寝顔は立派な一人の男の、妹想いのお兄ちゃんの顔だった。
その寝顔を見ながら、私は何故か自分の胸が静かに高鳴るのを感じた。
もし、あの頃の私とお姉ちゃんの思い出が、
この子が妹を想う気持ちに少しでもつながったのなら、
あの頃の私、居て良かった・・・
ただお姉ちゃんにくっついて遊んでただけの私だけど、
存在できて良かった。
そんな私と一緒に遊んでくれたお姉ちゃんが
居てくれて、存在してくれて良かった。
お姉ちゃんにとっての私も、たぶんそう・・・
そして今この子がここに存在してくれて・・・
もうすぐ産まれてこようとしてるこの子の妹も。
みんなみんな、居てくれて、存在してくれて、
何をするわけでもない、ただ存在してくれるだけなのに、
それだけで、私はいい。
そして私にもう一つの記憶が蘇った。
そういえば私、5年前この子が産まれた日もこの部屋に居たんだっけ。
それでこの子が産まれた後、お姉ちゃんが言ってたっけ。
『今、私はこの子がここに居てくれるだけでいい。
この子がここに存在してくれるだけで、生きてくれてるだけで、
それだけでいいの。他に何も望むことはないわ。
あなたもいつかこんな風に思える時が来るといいわね。
これってとっても素敵なこと、素晴らしいことよ』って。
お姉ちゃんのあの時の気持ち、今少しだけわかった気がするよ。
本当に少しだけ。
お姉ちゃんほどわかるまでは、まだ時間がかかりそうだけどね。
甥っ子の寝顔と、新しい命が産まれるこの場所が、
私にそんな風に思わせたのかもしれない。
それからしばらくして私もウトウトし始めてしまった頃、
分娩室からの
『オギャア~、オギャア~、オギャア~!!』
という声で目が はっ と覚めた。
『ほら!起きて起きて!!産まれたよ。お兄ちゃんになったんだよ!!』
FIN
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【編集後記・へんしゅうこうき】
もちろん自分の子供だけじゃなくてそれが誰でも、
その人が存在してくれるだけで、生きてくれているだけで、
それ自体がすごいことで幸せなことなんだ、とかみしめる、
そんな経験があなたにもきっとあったと思います。
お姉さんが言っていたように。
そう思いながら書き綴るうちにふと思いました。
"いつもながらイチ箱屋さんのメルマガテーマの圏外だな。今回は特に" と。
でもどうしても、心が言うんです。
書こうよ、と。
それでもあえて願うなら、甥っ子さんを通して
妹さんが、素晴らしいと言ったお姉ちゃんの心の一端を感じることができた。
ダンボール箱がそのお手伝いを少しでもできていたなら、
よしんばそれが弊社が作ったダンボール箱だったら、
最高すぎて息ができなくなりそうです。
最後までお読み頂きありがとうございました。
m(__;)m
2月某日 メルマガ編集長 やまぎし
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……★★ コ・ラ・ム ★★………
例えば、どこかのお店のレビューに
【商品届いたけど箱が思いの他潰れてた】って書いてあったのを見て
『あらら、お気の毒に。こんなレビュー書かれちゃって・・・
ウチの店は新品の5mmの箱使ってるから大丈夫だよな』
なんて思ったことのある方、
ちょおっと待ったあ~!!
実はいつこれがあなたのお店に起きてもおかしくなかったかも、なんです!!
それはなぜか・・・!?
ダンボールの厚みには3mmとか5mmとか、8mmとかあります。
例えば5mmはAF(エーフルート)と呼ばれますが、
同じAFでも強度が色々あるってご存知ですか?
だからAFとだけ記載してある、AFでしっかり、とだけ記載してある、
そんな場合は "必要としているしっかり具合じゃない" かもしれません。
例えば実際にあった例ですが、
弊社と他社様で同水準同士としてよく比較される箱の材質では、
弊社仕様がC5ですが他社様では実はC120(C5よりも約20%強度ダウン)だったり、
5mm厚の箱の材質が突然価格そのままで材質ダウンされていたり(勿論他社様)と、
厚み以外の強度判断がしにくい、できないケースが、実はあるんです。
だから弊社の商品ページはそんな誤解をされないご説明を記載しています。
人によっては "騙された" とさえ思うかもしれない大事なポイントですからね。
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