ドッヂ・ダンボール事件■アースダンボール メルマガVOL９０■2020年7月号

小学６年生の時、クラスに二人の神が居た。 一人は自分で言うのもなんだけどこの僕、ヒロヤ。造形の神。 ある時、授業で作ったダンボール戦艦大和が市内で金賞を受賞し、 それから県でも金賞、遂には文部科学大臣賞まで授賞し、 神と呼ばれるに至った。 もう一人はアラタ。ドッヂボールの神。 そのボール投球術は並外れで、狙った相手は絶対外さずあてる。 他の小学校や年上の中学生の腕自慢達から野試合を申し込まれ、 前人未到の１００連勝を達成。 神と呼ばれるに至った。 そんな二人の小さな神に、本物の運命の神が仕掛けてきた。 ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ 僕の戦艦大和が文部科学大臣賞の出品から戻ってきた。 一旦、教室で他のみんなの作品と一緒に飾られていたが、 明日から校長室前の展示棚に移設れるという日、事件は起きた。 それはある日の昼休み、外は雨だった。 『雨だから教室でドッヂやろうぜ！』とアラタが言い出した。 突然のことでみんなキョトンとしていたが、 アラタは構わず友達の一人にボールを投げ始めた。 『お、おい、、いくら何でもここじゃ無理だろ・・・』 何人かが止めたが、アラタはお構いなしに力を込めた。 『ちょっとアラタ、危ないじゃない！』女子も制止に入った。 そして次の瞬間・・・ アラタの投げたボールが僕の戦艦大和に直撃！！！ 大和の隣にあった、女子のシズカの作品も巻き込んで、 二つの作品は木っ端微塵になった！！！ その場にいた全員が凍り付いた・・・ 僕もシズカも、目を丸くしてその惨状をただ見つめていた。 『ちょっ、、アラタ、何やってんのよ！！！』 沈黙を破るように、クラス委員長のミナミが叫んだ。 ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ アラタは先生達にかなり絞られ、ドッヂボールも禁止になった。 それだけならまだしも、クラスの雰囲気も暗く変わってしまった。 ドッジボールでダンボール作品をぶち壊した、ドッヂ・ダンボール事件。 それはクラスみんなの記憶に深く残ったまま、僕達は卒業した。 （´o｀)п(´o｀)п(´o｀)п(´o｀)п(´o｀)п ************************************************** その８年後、二十歳になった僕達のクラス会が催された。 僕もアラタも、シズカもミナミも、ほぼクラス全員が参加した。 飲み会も進み、少しダラダラモードになり始めた頃、 適当な席替えで僕はアラタの隣に座った。 『おいおい、お前らが隣同士だと、思い出すよな、あの事件』 少し酔った一人がからかうように言った。 『おい、よせよ、昔の話じゃん。嫌な思い出話はよそうぜ』 別の一人がそう言ったが、アラタは苦笑いしていた。 でも、僕は小声でアラタに話しかけた。 『なあアラタ、ずっと聞きたいことがあったんだ。あの時の事』 『ああ、あの時は本当にごめんな、ヒロヤ。調子に乗りすぎた』 『なあアラタ、お前、あれ、わざとだろ・・・』 『わ、わざと・・？　いや、単に手元が狂ったんだ、ほんとに』 『狂った？嘘つけ、お前の投球が狂うはずない。神だったろ』 『狂ったんだよ、本当だよ。それだけだよ。しつこいな～』 『嘘だ！絶対嘘だ。僕は解せない。いい加減に話せ！！』(`A´) 『嘘じゃねえって言ってんだろ！！　しつこいぞ！！』(-"-;) 酒のせいか、二人とも強い口調になってしまった。 その時だった。 『違うの！！　違うのよ！！　アラタ君は悪くないの！！』 声の主は、少し離れて座っていたシズカだった。 『シズカ、ちょ、急にどうしたのよ！？』 空気の異変に全員が固まった。まるであの時のように。 ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ 『よせ！シズカ・・・』なぜかアラタが制止に入った。 『いいの、アラタ君、私、ちゃんと言わなきゃ。 　お願い、二人とも喧嘩しないで。全部、私が悪いの！！ 　ヒロヤ君、アラタ君、みんな、ごめんなさい・・・ 　ヒロヤ君の作品壊したの、本当は私なの！！ 　私、あの前の日の放課後、忘れ物を取りに教室に戻ったの。 　その時に急いでて作品にぶつかって、落として壊しちゃって。 　私、まだ転校してきたばっかりで助けてって言える友達も居なくて、 　すごく不安で怖くて、一人でずっと立ちすくんで泣いてたの。 　そしたら、誰かが走り去る足音がして。それはアラタ君だった。 　"全部見られてた・・どうしよう・・"って思った。 　結局私は壊した部分が死角になるように壁側に向けて、帰ったの。 　次の日、アラタ君がみんなに言いふらしてしまわないか、 　誰かが壊した部分を見つけて大騒ぎにならないか、びくびくしてた。 　でも半日経っても誰にも見つからない。アラタ君も何も言わない・・・ 　そして、あれが起こったの。 　私の作品とヒロヤ君の作品が同時に壊れた時はビックリしたけど、 　"アラタ君が壊した、ことになった？　ああ助かった・・・" 　って思っちゃったの。一気に安心しちゃったの。 　アラタ君のせいなんだって自分に思い込ませちゃってたの。 　私、弱くて、ずるくて、卑怯で。みんなごめんなさい』。 ・・・・・・・・・・・・・・・ 『シズカ、言ってくれてありがとう。じゃあ、アラタのあれは？』 元クラス委員長のミナミがそう言うと、シズカは話しを続けた。 『うん、アラタ君は全部わかってて私をかばったの。 　転校したての私の不安とか、そんな私が神の作品を壊しちゃった怖さとか。 　だから全部自分一人のせいになるように、私も被害者になるように。 　でも月日が経つにつれて、自分が先に壊したのにっていう想いが強くなって、 　卒業から５年も経った高校３年生の時、アラタ君に聞いたの。 　"私が先に壊したの見てたんでしょ？知ってたんでしょ？"って。 　そしたら、アラタ君も真実を話してくれたの。 　でもアラタ君、とどめ刺したの自分だからお前は気にするなって。 　でもそれじゃ、さっきみたいな喧嘩がまた起きちゃうから、 　今しか、今言うしかないって思って・・・』(´□｀。)° ・・・・・・・・・・・・ 『シズカ・・・ずっと言えなかったんだね。辛かったね。 　私達こそごめん。あんたの辛さに気付いてあげられなかった』(´・д・｀) シズカの友達が涙ぐむシズカを抱きしめた。 普通なら衝撃の告白・・・。けどそうでもなかった。 あの事件、"何か解せない、何か訳が"　と皆思っていたからだ。 アラタは訳もなしにあんな事する奴じゃないと思っていたからだ。 でもアラタは最後の最後までごめんと言うだけだった。 あの事件はアラタ一人が悪者として収束するしかなかった。 『おいアラタ、そうなのか？　ここまで来てダンマリは無しだぜ』 僕がそう言うと、アラタは答えた。 『あ～、ああ、うん、まあ、そんなとこだ』 『そっか。ならなんで、なんであの時言ってくれなかったんだ』。 『俺も月日が経ってからそう思ったよ。 　ちゃんとシズカが謝る方向に俺がもっていってやるべきだったって。 　でも、あの時はああするしか方法が浮かばなかったんだ。 　二人の作品はたまたま隣同士だったから1球で同時にやれる、って。 　誰かが見つける前にやっちまわなきゃってことしか頭に無かったんだ。 　転校したての不安や心細さは、俺も経験があったから、 　少しでも早くシズカの不安を取ってやりたくて。 　でも・・・今、改めて確信した。 　やっぱり俺一人悪者になればなんて、一番馬鹿な選択だった。 　みんな、本当にごめん・・・』。 僕達クラスの８年間のわだかまりが、今、解けた。 ８年ぶりに、僕達のクラスは一つに戻れた。 シズカも他の女子達もボロボロと泣き続けた。 （´o｀)п(´o｀)п(´o｀)п(´o｀)п(´o｀)п ************************************************** そんな中、クラス委員長のミナミが涙をひと拭いして口を開いた。 『ええと、じゃ、改めて乾杯と行きますか！！ 　クラスが一つに戻れたのを祝して！！　カンパ～・・・』 『ちょ、ちょっと待って！！』 いきなりアラタが乾杯に待ったをかけた。 『何よアラタ！まだこれ以上爆弾投げ込もうっての？』 ミナミが不機嫌そうに返した。 『いや、そうじゃないんだけど・・・でもある意味爆弾かも。 　実はみんなに一つ報告があって。あの、俺、結婚するんだ』。 『あら、じゃあクラスの結婚第一号じゃない！ 　それはめでたいわ！！　で、お相手はどこのどなた？？』 『それは、ええと、その・・・』アラタがはにかんだ。 『何よ、自分で言っておきながら(。｀Д´。) 　んん？　え？　ちょっと待って。この流れ、まさか・・・』 『そう、そのまさか。シズカと、結婚するんだ・・・』(。-_-。) え？？(°∀°〝)(°∀°〝)(°∀°〝)・・・・ えええええ～～～！！！！！(ОД○*)(°◇°;)(＠д＠；) 『もお～！あんた達どんだけ私達を揺さぶるつもりよ！(≧w≦) 　こうなったら二人の馴れ初め、全部きっちり説明して貰うからね！！ 　もう最高すぎ！！　おめでとう！！カンパ～イ！』( ^_^)／□ "カンパ～イ！！！"( ^_^)／□☆□＼(^_^ ) ( ^^)／C□☆□D＼(^^ ) ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ こうしてドッヂ・ダンボール事件は最高の思い出に昇華した。 帰り際、アラタは僕に謝ってきた。 『さっきは、ごめんな。つい感情的になっちまって』 『別にいいって。それより、 　あの時のお前の手元、やっぱり狂ってなかったじゃないか。 　人生のパートナーまで射貫きやがって。さすが神だ。 　ま、それも神のダンボール作品があってのことだけどな』。 『まったくだ。違いない』(o´∀｀)ノ ＦＩＮ （´o｀)п(´o｀)п(´o｀)п(´o｀)п(´o｀)п ************************************************** ■このメルマガへの感想、ご意見、ご不満、応援メッセージなどは、 このメールへそのままご返信ければＯＫです。 ┏┏┏┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ┏╋┏　　株式会社アースダンボール ┏┏■　　362-0811　埼玉県北足立郡伊奈町西小針7丁目17番地 ┏　　　　　　　　　TEL:048-728-9202　FAX:048-728-9130 ┃　　　　　　　　　mail:info@bestcarton.com ┃　　　　http://www.bestcarton.jp/　(オーダーメイド) ┃　　　　http://www.bestcarton.com/　(既　製　品) ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ☆☆☆　アースダンボールお勧め情報局　☆☆☆ ■猫さん専用のダンボール箱！？ 　ダンボール専門業者の猫さんにくつろいで頂く為のダンボール箱！! 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