70歳 新しい恋、始めます -前編-■アースダンボール メルマガVOL109■2021年4月号-2
70歳を過ぎて新しい恋・・・か。
今から30年前の2021年、
『人生100歳時代が来る』なんて言われ始めたけど
2051年の今、本当にそうなった。
70歳なんて現役で働いてる人も沢山居るし。
もし僕のばあちゃんがそうなるなら、僕は嬉しい。
(´o`)п(´o`)п(´o`)п(´o`)п(´o`)п
**************************************************
僕は月に一回、73歳になるばあちゃんを、
車で20分ほどの病院への送迎をしている。
『いつもありがとう』と僕を気遣う優しいばあちゃん。
昔からおばあちゃん子だった僕はこの送迎が楽しかった。
そんなある日の送迎の帰り、
『ねえばあちゃん、帰りに喫茶店にでも寄らない?』
と誘ってみた。
『ああ、いいよ、行こう』とばあちゃんは言ってくれた。
店の前に車を留めると、ばあちゃんの表情が少し変わった・・・
『ここは・・・おまえ、この店にはよく来るのかい?』
『まあね。ばあちゃんくらいの年の人がマスターなんだよ。
どうかした?』
『ううん、なんでもないよ。じゃあ入ろうか』
"カランカラン~"
『いらっしゃいませ』(*^-^)
『こんにちは、マスター。今日はばあちゃんと一緒です』
『そうですか、それはよか・・・っ!?』
ばあちゃんを見たマスターが立ち止まった。
『こんにちは、マスター、聖(ひじり)さん。おひさしぶり』
『は、春子(はるこ)、さん・・・』
え、ええ・・・?? 二人は、知り合い!?
(´o`)п(´o`)п(´o`)п(´o`)п(´o`)п
**************************************************
まったく予想外の出来事だった。
他に客も居なかったので、僕は二人から"席を外し"た。
10分ほどするとばあちゃんが、
『おまえもこっちにおいで。
おばあちゃんとこの人の話、聞かせてあげるから』
と僕に言った。
僕はカウンター席のばあちゃんの隣りに腰かけた。
『私とお前のおじいちゃんの結婚はダンボール箱が決めたのよ、
って言ったら驚くわよね。でもそうなんだよ。
私とマスターの聖さん、お前のおじいちゃんの橘(たちばな)は、
小さい頃からの幼馴染でね。いっつも一緒だったわ。
遊んで、喧嘩して、冒険して、笑って泣いて・・・
互いの全てを共有し合ってた。
いつまでも、ずっとこのまんまなんだと思ってたわ。
けど、勿論その筈は無くってね。
私達は大人になって、選択しなくちゃならなくなったの。
聖さんと橘、どちらが私と結婚するかってことをね・・
私達が高校三年生、18歳の時だったわ。
気づけば、二人は私を女性として愛してくれていて、
でも私はその事からずっと目を背けていて。
でも遂に向き合わなきゃならない時が来てね。
三人それぞれが考え続けて悩み続けて・・・
でも私は決める事ができなかった。
二人も、決める事ができなかった』(・_・、)
ばあちゃんの言葉が止まった。
それを察したマスターが口を開いた。
『私も彼もそんな春子さんを見ていられなくてね。
あの時一番辛かったのは春子さんだった。
私と彼はそんな春子さんを早く助けたいと思ってね。
二人で決めたんです。運命を受け入れる方法を。
それがあるダンボール箱だったんです・・・
子供の頃、三人で"遊んだ"箱でね、立方体なんです』。
『立方体? あ、もしかして・・・!』
『そう、そのもしかして。大きなダンボールサイコロです!
何して遊ぶとか、どっちへ行くとか、誰の家で宿題するとか。
意見が合わない時も迷った時も、いつも私達の道標でした。
なぜか自然と"この箱が言うなら"なんて思える箱でしてね、
この箱の前では、私達はとても素直だったんです。
それを私がずっと大事に持ってたんです。
まさか大人になって使うとは思いませんでしたけどね』。
『まさか、本当にサイコロで決めたの?結婚・・・』
To Be Continued
次号へ続く
(´o`)п(´o`)п(´o`)п(´o`)п(´o`)п
**************************************************
【編集後記・へんしゅうこうき】
人生100年・・・
本当によく聞かれるようになりましたよね。
自分は何歳まで生きるのか? 何歳まで生きたいのか?
自分は何歳まで働けるのか? 何歳まで働きたいのか?
その時、自分の健康は?お金は?家族は?
色々考えてしまう人も多い事でしょう。
恋愛や結婚の考え方も、今とは変ってるかもしれません。
次号、
ばあちゃんの話を聞いた主人公の心は何を感じたのか?
が描かれます。
最後までお読み下さりありがとうございました。
m(__;)m