結婚式は老人ホームで■アースダンボール メルマガVOL115■2021年7月号-2
新郎新婦は共に御年78歳。今日は結婚式。
式の会場は勿論ここ、私達の老人ホーム。
このご時世に私達のホームが、
こんなに幸せに包まれるなんて・・・
(´o`)п(´o`)п(´o`)п
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私は真紀。23才。このホームの介護士です。
毎日大変だけど私はこの仕事が大好きだ。
そして私は、きっと今日の為にこの仕事をしてきたんだ。
半年くらい前、ある78歳の女性が入居された。
お名前は聡美さんというかわいいおばあちゃんだった。
聡美さんは生涯独身だったとのことだけど、
『まるでかわいい孫ができたようよ』(*´U`*)
と私の事をとてもかわいがってくれた。
聡美さんはある1枚の古い写真をよく眺めていた。
『そのお写真、懐かしそうに眺めてますね』(´∀`)
私はある日、聡美さんにそう声をかけた。
聡美さんはニコっと笑ってこう言った。
『じゃあ真紀ちゃんだけに教えるわ。誰にもナイショよ』
それはある男の子が写ったセピア色の写真だった。
場所は、どこかの立派な洋館の部屋のようだった。
『私が12歳の時の写真でね、私の初恋の人よ。
そして私が生涯愛した、たった一人の人なの。
結局この人とは結ばれなかったけどね・・・』(´ω`*)
聡美さんは少し遠い目をして話してくれた。
『聡美さんはこの人を想って生涯独身だったの?』
『うん、そう、そうね、真紀ちゃん。そうなの。』
『そっか、、、』(*´・ω・`)
私はそれ以上の言葉が出せなかった。
(´o`)п(´o`)п(´o`)п
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うちのホームはいかんせん人手不足で、
同グループの別のホームに行くこともある。
別のホームに78歳のある男性入居者さんがいるんだけど、
名前は竜二さんていう、とっても品のある優しい老紳士。
ある日、竜二さんが1枚の写真を落としたので、
拾って返す時にちょっとだけ見てしまったんです。
とても古いその写真には一人の女の子が写ってて。
『ありがとう、見られちゃったな~』( ´ー`)
『うふふ、ちょっとだけね。可愛らしい女の子ですね』
『僕が12歳の頃にいつも一緒に居た女の子でね、
僕の初恋の人。でも結局好きだと言えなかったんですよ。
その写真を撮ってすぐ、彼女は急に引っ越してしまって。
探したけどどうしても見つけられなくてね・・・
その後、私は別の女性と結婚しましたが、
この人を忘れられず、結婚生活が上手くいかなくてね。
結局、妻とは離婚してしまったんです・・・』(´-`)
竜二さんはそう言って少し寂しそうに微笑んだ。
『そっか、、、』(*´・ω・`)
私は聡美さんの話を聞いた時と同じ返事しかできなかった。
介護士をやっていると時々こういうお話を聞いたりする。
でも、んん?? そう言えばこの写真、どっかで・・・
写真の色あせ具合といい、写ってる場所の感じといい、
それにこの女の子、誰かに似ているような・・・
この時の私ははっきりと思い出せなかった。
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数日後、聡美さんがまた写真を眺めていた。
『ねえ聡美さん、そのお写真また見せて~』
と頼んで見せて貰った。 すると・・・!?
("やっぱり竜二さんの写真、これと似てたんだ!
撮られた場所もなんとなく同じっぽい感じがする。
それに聡美さんと竜二さんは年齢が同じ。
写真が撮られたのは二人が12歳の時。
この男の子にもどことなく竜二さんの面影が・・・")(´⌒`;)
これって偶然? でも、いやまさか!?
そうだ、写真の人の名前聞けば・・・いやさすがに、
『この男の子の名前は?』なんて聞くのは失礼だわ。
何かもっと確実な証拠は無いの?
私は写真の隅の1箱のダンボール箱が目に入った。
("この時代のダンボール箱って珍しいかしら?
箱の側面に何か文字? R&S、アールアンドエス?
どっかの企業のロゴかしら?
竜二さんの写真にこんな箱写ってたかしら??")
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私は竜二さんに再び写真を見せて貰った。すると・・・!
箱の角度は違うけどR&Sと印刷された箱が写っていた!
あった!!この箱、同じ印刷!箱のサイズも同じくらいだ!
でもどうやって確かめる?・・・ううん・・・(´⌒`;)
『こ、この写真のダンボール箱、なんか珍しそうですね。
R&Sって当時の有名店のロゴかなんかですか?』
『この箱ですか?これはプリントロゴじゃないんです。
私とこの女性(ひと)が二人で箱に直筆で書いたんです。』
("じ、直筆!!ってことは世界に一つしかない箱!
お二人の写真は同じ場所、同じ時間に撮った写真・・・
聡美さんの写真に写っているのは竜二さんだ。
竜二さんの写真に写っているのは聡美さんだ。
お二人は互いに好きだった。そして今も・・好き・・")Σ(・ロ・;)
そして、竜二さんが写真を見つめてぼそっとつぶやいた。
『聡美さんどうしてるかな~、会いたいな~』(´-`)
(今、"聡美さん"って言った!?会いたいって言った!?
どうする?どうするべき?ねえ私、どうするべき~!?)
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私は・・・・・・意を決した!!!
『竜二さん、私、この箱が写った写真持ってる女性(ひと)、
知ってる・・・』(・_・、)
『え、ええ!?』Σ(゜゜)
竜二さんの写真を見つめる目がパチっと大きく開いた。
私と竜二さんの時間が止まった。10秒、20秒・・?
その沈黙を破るように竜二さんの目から涙が溢れ出た。
『そう、そうですか、
じゃあ聡美さんは生きて、生きてるんですか?・・』(´;ω;`)
『うん、うん、うん、生きてる、とってもお元気よ』(ノ_・。)
私の目からも涙が溢れて止まらなくなってしまった。
そして私は泣き崩れる竜二さんの丸まった小さな肩を
そっと抱きしめてあげた。
そのまま二人で少しの間、泣き続けた。
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聞けば、
竜二さんの家は大きな財産を所有する地元の名家だそうで、
写真の場所は竜二さんの住んでいたお屋敷。
そして聡美さんはお屋敷住込みの使用人の娘さんで、
母娘二人で身を寄せるようにお屋敷で暮らしていた。
しかし、使用人の娘である聡美さんと竜二さんの仲を、
良く思わなかった竜二さんの両親は、聡美さんのお母さんに、
大金を渡す代わりにこの屋敷から出て言って欲しい、
と持ちかけ、聡美さんのお母さんはその条件を受け入れた。
その後も聡美さんのお母さんは約束を守り、
それを理解していた聡美さんも竜二さんの前に姿を現さなかった。
その後、事情があって竜二さんの家は財産の多くを失い・・・
66年経って、お二人はこのグループホームに入居していた。
(´o`)п(´o`)п(´o`)п
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時は流れて3ヶ月後・・・
今日は竜二さんと聡美さんの結婚式。
お二人の66年間の想いがこのホームで実を結んだ。
ホームの入居者の皆さんもスタッフのみんなも、
今日は最高の、最高の、最ッ高の!!!、笑顔だ。
私は見届け人として式に参列し、お二人に贈物を送った。
その贈物とは・・・1箱のダンボール箱。
そしてお二人はみんなの前でこの箱にサインをした。
R&S(竜二&聡美)・・・ってね。
FIN
(´o`)п(´o`)п(´o`)п
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【編集後記】
私は介護現場で働いた経験がありません。
ですので現場の人から見れば、
これはとんだ夢物語なのかもしれません。
もしそうだとしたらお許し下さい。
そんな夢が見たくなってしまったもので・・・
そんな夢をお届けしたくなってしまったもので・・・
私達が作るダンボール箱がこんな縁を結んだなら、
あなたの商品やサービスがこんな縁を結んだなら、
何て幸せなことでしょう(^^)
最後までお読み下さりありがとうございました。
m(__;)m
ライティング兼編集長:メリーゴーランド