いじめられたらね■アースダンボール メルマガVOL 116■2021年8月号
私はいじめられている。
理由は簡単、私が先輩達よりサッカーが上手いから。
今や中学の女子サッカー部と言えば花形の部活。
そのせいかちょっとした陽キャラやヤンキーも居る。
只でさえ目立ちたい人達がベンチで私がレギュラー。
いじめたくなる気持ちもわかる。
私が辞めるしかないのかな・・・
私は絵里加(エリカ)、中学2年生の女子。
(´o`)п(´o`)п(´o`)п
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先輩達のいじめは日ごとにエスカレートした。
顧問の先生が居ない時は特にひどい。
『絵里加~、今日も特訓もやるよ~!』(*´艸`*)
特訓と称した私へのシゴキ、いや、いじめだ。
私はフィールドプレーヤー、しかもフォワード。
だから"優れたフォワードはキーパーを研究しなきゃ"
とかなんとかいう理由で私をゴール前に立たせ、
先輩達がシュートの集中砲火を浴びせる。
シュートの嵐は私の体力が尽きるまで続く。
毎日、毎日、毎日・・・
最初は私も意地になって耐えていたけど、
少しづつ、心が折れそうになっていった。
(´o`)п(´o`)п(´o`)п
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部活以外でも嫌がらせされるようになった。
帰り道、一人で学校のフェンス脇を歩いていると、
後頭部にいきなりサッカーボールがあたった。
なかなかの衝撃で私はフラッとして膝を落とした。
『ああ~ごめ~ん、気が付かなかった~』(*´艸`*)
そう言ってニヤニヤしながら私の横を通る先輩達。
すれ違い様に小声でこう言った。
『ったく、早く辞めろよ』(`ε´*)
やっぱりいじめ、ってやつだよね・・・
なるほど、なかなか辛いもんだね・・・
いじめられるってこんな気持ちか・・・
私、まだ頑張れるのかな・・・
もう、辞めちゃおうかな、部活・・・
サッカー、大好きなんだけどな・・・
この時、私はなんとか泣くのを堪えた。
でもその夜、遂に私のメンタルは限界を迎えた。
(´o`)п(´o`)п(´o`)п
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私は5年前に母を亡くし、父と二人暮らしだった。
父は何不自由なく私を育ててくれたし、今もそう。
女の子特有の事にも気を配ってくれる優しい父親。
ただ一つ、なんとなく、本当になんとなくだけど、
私の部活のユニフォームを仕舞う場所が、
何故かダンボール箱だった。
モチロンちゃんとしたタンスもボックスもある。
でも何故かユニフォームだけはダンボール箱だった。
汚れる物だから他とは別に、という父の気遣いだとは思う。
私も、どうしてもそれが嫌って程じゃ無かったし。
でも、その夜はいつもの私じゃなかった。
明日の学校の準備の為、
その箱から洗濯済みのユニフォームを取り出す時だった。
箱の蓋の角にユニフォームの生地が引っかかって少しほつれた。
その瞬間、日々のいじめがフラッシュバックした。
急にダンボール箱が安っぽく適当なものに見えてしまい、
急に怒りと悲しみが込み上げた。
込み上げて込み上げて、さらに込み上げて・・・
体中が熱くて、涙が出そうで、叫び出しそう!!!!
私は臨界点に達した感情を父に向けてしまった。
『お父さん!!!!
なんで!?? なんでダンボール箱なん!!
私だって年頃の女の子なんだよ!!
なんかガサツじゃん!!ミスボラシイじゃん!!
こんなん恥ずかしい!!誰にも言えないじゃん!!!』
・・・言い終わった後も頭の中が真っ白で・・・
私はその場を去ろうとして父の顔をふっと見ると、
父は驚いた顔をしていたけど、どこか悲しげだった。
『え、絵里加・・・?』(゜▽゜;)
私は父をさえぎって部屋に籠り、そのまま眠ってしまった。
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それから30分くらい経って、風呂場からの音で目が覚めた。
"ゴシゴシゴシ、ゴシゴシゴシ"
あ、お父さん、私のユニフォーム洗ってくれてる。
考えた事なかったけど、今までずっとそうだった。
お父さん、どんなに遅く帰った日も、疲れてても、
必ず毎晩こうして手で洗ってくれたな。
"この汚れは洗濯機じゃ落ちないから"って。
自分で洗えばいいのに、ただお父さんに甘えて、
なのに・・・
ねえお母さん、私どうすればいいのかな・・・(o´_`o)
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翌朝、私は軽い腹痛になってしまい、
心配した父が車で学校まで送ってくれる事になった。
二人ともずっと無口だった。
私はかすかな小声で
『校門前だと恥ずかしいからここでいい』と、
学校の少し手前で車を停めてもらった。
そして降り際、それまで黙っていた父がこう言った。
『部活、辛かったら辞めてもいいんだぞ・・・』
その言葉を聞いた瞬間、
昨日のそれとは全く違う感情が込み上げてきて、
軽く触れるだけで切れてしまいそうな細く弱い糸で
ピーン・・・
とつながれていた心が
プツンッッ
と切れた。
もう涙も嗚咽もとめることができなかった。
『うう、グス、うああん、あああん・・・
うあああああんんん!!』。゜(゜´Д`゜)゜。
私は泣いた。
父と二人きりの車内で思いっきり泣いた。
父はずっと背中をさすってくれた。
泣き止むまでずっとさすってくれた。
『お、どう、ざん、ぎどうは、ご、ごべんだざい(。ノω\。)゜』
どのくらい泣いただろうか?
でも泣き止んだ時にはなんかスッキリしてて、
なんだか素直になれて、力さえ満ちてきた気がして、
お腹の痛みもすっかりなくなって、何だか笑えてきた。
父も一緒に笑ってくれた。
そして2回目の降り際、父が今度はこう言った。
『絵里加、今度の休みに洋服ボックス買に行こう』(^ー^)ノ
『あ、うん、ありがとう。でも私・・・
あのダンボール箱でいい。あのダンボール箱がいいの』(O´∀`)
『そ、そうなの?まあ絵里加がそう言うなら。
じゃあ、欲しくなったらいつでも言ってくれな』(´ー`)
『うん、じゃあ行ってくる。あ、それと・・・
私、部活辞めないよ。辞めてたまるかっての!!』(ノ`・Д・)ノ
『わかった、父さんも応援するからな』(`・ω・´)ノ
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数日後、父はあのダンボール箱の事を話してくれた。
母が亡くなる前に『絵里加が年頃になったら渡してあげて』と、
女の子のアイテムを色々と準備してくれた箱だった。
いわば、母から父へ引き継ぎされた私の箱。
だから私への用が済んだ後も捨てるのが忍びなかったらしい。
だからあの箱を見るとユニフォームの手洗いも頑張れたって。
なるほど・・・
ガサツとかミスボラシイとか言ってごめん、ダンボール箱。
それから、ありがとう、おかあさん。
ユニフォーム、今後は自分で洗います。
そして、あのダンボール箱に仕舞います。
FIN
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【編集後記】
あなたはいじめられた事ありますか?
逆にいじめた事ありますか?
私は、両方あります。
そして、どっちの事もよく覚えています。
イチダンボール会社が扱うテーマにしては深すぎるし、
ダンボールといじめは直接の関係はありませんが、
もし、例えたった一人でも、いじめた、いじめられた心の傷を
弊社の一箱がきっかけで癒すことができたなら、
これからも何万箱、何百万箱、何千万箱でも作っていこう、
という気になる事ができます^^
最後までお読み下さりありがとうございました。
m(__;)m
8月某日 ライティング兼編集長:メリーゴーランド