スイート大人買いメモリー■アースダンボール メルマガVOL117■2021年8月号-2
おいおい・・・
スポットライトあてるのは俺じゃないって。
拍手喝采されるのも俺じゃないって。
今日の主役は新婦、俺の娘の真澄(ますみ)なんだ。
だからこんな演出よしてくれよ、照れるじゃねえか。
だって俺はあの時、、、
お前を笑顔にしたかっただけなんだよ、なあ、真澄。
(´o`)п(´o`)п(´o`)п
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にしても今日の招待客の顔ぶれにはマジで驚くよ。
ここは経団連の集まりか?ってくらい大物ゲスト揃い。
誰もが知るくらいの有名企業CEOや上役さん、
真澄、お前は本当に凄いな。わが娘ながら大したもんだ。
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真澄は大学在学中に会社を起業、今も順調に成長中だ。
今日の招待客も会社の関係先さんがぎょうさん来てるし。
その会社ってのは真澄の趣味?がまんま業態になった会社で、
真澄の小学生の頃から妙な趣向に起因している。
その趣味っていうのが『大人買い』。
何か欲しいものをちょこちょこ買うより、
お小遣いを貯めてでも"箱で買う"のが好きな子だった。
ちょっと変わってるかなと思ったことはあるけど、
自分の経済範囲内でやってるし、何より嬉しそうで、
いつしか家族みんなが真澄の趣味を応援していた。
そんな真澄も中学生になってスマホを持つようになり、
SNSで大人買い趣味ネタを投稿するようになった。
すると以外にも真澄の投稿に共感する人が沢山居た。
フォロワーも増え、趣味はいつしか研究レベルに発展。
趣味&研究のYou Tubeチャンネル動画配信も始め、
○○女子、という流行りにも乗り『大人買い女子』として、
世に潜んでいた多くの大人買いファンを覚醒させた。
高校生の頃にはYou Tubeチャンネルで広告収入も得ている程だった。
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大人買い女子・・・その言葉だけを切り取ると、
高価なブランド品などを買いあさるイケイケ女子、
を思い浮かべる人もいるかもしれないが、
真澄の大人買い道(どう)は子供目線で主婦目線で庶民目線。
そこが多くの人々に受け入れられた理由でもあった。
そして真澄は大学生になると更に活動の場を広げ、
"大人買いコンサルタント"として企業にノウハウ提供。
遂に 株式会社OTONAGAI を起業。
そして大学時代からの共同経営者の男性とめでたく結婚。
今日が式と披露宴、という訳だ。
(´o`)п(´o`)п(´o`)п
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真澄が提唱する大人買いには色々あるが、
いつだったかある雑誌のインタビューで、
大人買いの黄金律、的な事を話した記事がある。
何でも3つの条件が揃うと幸せパワーがMAXになりやすいのだとか。
まず第一に、"身の丈に合った大人買い"
買ってあげるも買って貰うも、自分の財布の範囲内で。
第二に、"できれば誰かと共有し合えること"
勿論、一人での楽しみもOKだが、誰かと一緒に楽しめる、
誰かが一緒に喜んでくれる、それが大事なことらしい。
そして第三が、"できればダンボール箱で買えるもの"
商品サイズなんて色々だし、外側は何でもいいじゃんと思いきや、
真澄曰く、最もお勧めしたいのがダンボール箱入り、らしい。
一生懸命貯めたお金でいざ箱で購入。
箱を持ち上げた時、中で商品がガサッと動く音や指先からの振動。
そんな箱を大事に抱きかかえる感触やダンボールの匂い。
そんな五感からの刺激と嬉しさが化学変化して、
幸福感エネルギーをMAXに高めてくれるらしいのだ。
更にそれ用の"大人買い専用ダンボール"の誕生にはさすがに驚いた。
実はこれ、真澄の原体験が元らしい。
でもその原体験は公には語られていないし、俺も知らない。
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披露宴も滞りなく進み、終盤、新婦の両親への手紙だ。
ああ、泣かせる演出のあれね。わかったわかった、
こっちはちゃんと泣いてやるから、お前はしっかり読めよ・・・
『・・・・・・・お母さん、
お母さん、本当にありがとう。
そしてお父さん、
実はお父さんに、今日初めて伝えたい感謝があります。
それは、私に大人買いを教えてくれたこと・・・』(*´∀`*)
その時、パッと俺にスポットライトがあたった。
ライトがあたってるのは俺と真澄の二人だけだ。
おいおい、ったく余計な演出考えやがって!
でも、え? 俺が、大人買いを教えた・・・?「(゜ペ)
『あれは、私がまだ4歳の時・・・』( ´ー`)
お前が4歳??そんな小さい時?「(゜ペ)
『弟が生まれる日の事でした・・・』( ´ー`)
弟?卓(すぐる)が生まれる日?何かあったっけ?「(゜ペ)
『お母さんにおしるしが来て、
お父さんと私とでお母さんを車で病院に送って、
お父さんと私と二人だけの帰り道でした・・・』( ´ー`)
ああ、そうだったな、
お前ってば、初めてお母さんと離れるのが寂しくて、
めっちゃ沈んでテンション低くて、不安そうで、
それでお前をどうにか元気づけてやりたくてさ、
あの時お前に・・・お前に、あっ!・・・~(..)
『不安で泣きそうな私を元気づけようと、
"美味しいもの買って帰ろう"ってスーパーに寄ってくれて、
"何でも好きな物買っていいよ"って言ってくれて、
私が大好きな10円の棒のお菓子が欲しいって言ったら、
お父さんは笑顔でこう言いました・・・』( ´ー`)
10円の棒のお菓子・・・?
ああ、思い出した!そっか、そうだったな!!
俺、あの時言ったな!!(o゜▽゜)
『今日は箱ごと買っちゃうか!!(o゜▽゜)』って。( ´ー`)
そしたらお前がパアア~って笑顔になってな。
"私が持ってく!"って嬉しそうに箱を抱えて歩いてな。
家に帰ってからもずっと箱を隣りに置いてな。
寝る時も枕元にまで箱を持って行ってな。
毎日大事に一本づつ食べてな。
俺や退院してきたママにも分けてあげてな。
そっか、そんな事あったな。うん、あったな・・・(´-`)
俺はいつの間にかあの時の思い出の中にいた。
俺の頬を涙が伝っていたのも気づかずに。
『お父さん、あの時は本当にありがとう。
私はあの時の嬉しさと幸せを、一生忘れません』 ゜(゜´Д`゜)
(゜∇゜ノノ"☆(゜∇゜ノノ"☆(゜∇゜ノノ"☆パチパチパチ~~!!!
真澄がそう言うと、大きな拍手が沸き起こった。
スポットライトが眩しくて周りが全然見えないけど、
泣き崩れる真澄の背中を新郎が優しくさすってあげているのが微かに見えた。
おいおい、スポットライトあてるのは俺じゃないって。
拍手喝采されるのも俺じゃないって。
今日の結婚式の主役は新婦、俺の娘の真澄(ますみ)なんだ。
だからこんな演出よしてくれよ、照れるじゃねえか。
FIN
(´o`)п(´o`)п(´o`)п
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【編集後記】
あなたには大人買いの思い出はありますか?
いつだったかどこかのお店である親子を見たんです。
お父さんじゃなく小さい娘さんが大きな箱を抱えていて、
普通はお父さんが持つじゃん、と最初は思いましたが、
女の子の嬉しそうな笑顔と『あ・る・こ~♪』という歌声、
そして『少しづつ食べるんだぞ~』というお父さんの声で、
箱の中身は女の子の大好きなものが沢山あるのだとわかりました。
見知らぬ人なのに、娘さんがこの時をずっと覚えてくれてるといいなと、
なぜか思ったんです。
今号も最後までお読み下さりありがとうございました。
m(__;)m
8月某日 ライティング兼編集長:メリーゴーランド