女優、始まりの舞台は質屋 -前編-■アースダンボールメルマガ VOL118■2021年9月号
『ど、どうして貴方がこの店に!?』w;゜ロ゜)w
『私をご存じで嬉しいです。光栄です。』(*´ー`*)
『知ってるも何も、貴方は日本が世界に誇る大女優の・・・
な、なぜこの店に?こんな小さな質屋に??』w;゜ロ゜)w
『はい、昔、父が質に入れたあるものを、
ダンボール箱を、買い戻しに参りました・・・』(*´ー`*)
『だ、ダンボール箱を・・・!?』w;゜ロ゜)w
(´o`)п(´o`)п(´o`)п
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俺は定家仁(さだいえじん)、この質屋の店主、35歳、独身。
両親を早くに亡くした俺を初代店主のじいちゃんが育ててくれた。
子供の頃、俺はこの店が好きで、よくこの店で過ごしていた。
そのじいちゃんも3年前に亡くなり俺が店を継いだ。
でも俺には質屋の才能なんて全くて負債は増える一方・・・
もう店を畳んでしまおうかと考え始めていた。
そんな時に彼女、鷲宮日向(わしみやひなた)さんが突然店に来た。
今この日本で、いや世界中で彼女の名前を知らない人は居ない。
日本人初のアカデミー賞主演女優賞を受賞した人だ。
その大女優さんがダンボール箱を買い戻しに来た???
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その箱をこの店に質入れしたのは30年も前だという。
彼女に箱の特徴を聞き、俺は保管庫を探した。
するとそれらしき箱が1箱、ぽつんとあった。
この箱が・・・? いやまさか・・・
『あの、もしかしてこの箱でしょうか・・・?』(^▽^;)
彼女は丁寧な手つきで箱の蓋を開け、蓋の裏側を見た。
『ええ、確かにこの箱です!!ああ、本当に懐かしい・・・
早速ですが、買い戻しの価格はおいくらですか?』(*´ー`*)
本当に?本当にこの箱が?俺はまだ状況が呑み込めなかった。
『ちょっとお待ちを、当時の買取り金額を調べてみます』(^▽^;)
俺はじいちゃんがつけていた30年前の台帳を調べた。
すると、そこには驚きの買い取り金額が記載されていた。
『えと、一、十、百、千、万、じゅ、ひ、えええ!!』w;゜ロ゜)w
驚愕している俺に、彼女は当時の事を話してくれた・・・
『あれは30年前、私が5才の頃でした・・・
父が不運な事から事業で大きな負債を抱えてしまって、
家財などを質に入れようとこの店に来ました。
その時、私も一緒に来たんです。このダンボール箱を持って。
本当は箱の中身のおもちゃを買い取って頂くつもりでしたが、
ひょんなことからこのダンボール箱にお値段をつけて頂いて。
当時の私には質屋というものは理解できませんでしたが、
大事な物をお金にしてくれると聞いて持ってきたんです。
子供ながらに、父の力になりたいと思ってたんです。
そしてあの時、お店にはあなたも居たんですよ』(*´ー`*)
『ええ!私と一度会った事があるんですか!?』w;゜ロ゜)w
『ええ、そうです。父と当時の店主さんは
"少し長くなるから一緒に遊んでなさい"と私達に言いました。
あなたが色んな話をしてくれて、楽しかったのを覚えています。
そして父達の商談が終わると、私は店主さんに言ったんです。
"店主さん、このおもちゃも買い取って、私の宝物なんです。
そのお金は全部お父さんに渡して下さい" と』(*´ー`*)
俺はその時のことをまだ思い出せずにいた。
状況は何となくわかったけど、なんでダンボールがあの値段??
当時じいちゃんには、いわゆる"先見の明"的な眼力があり、
将来価値の出る物を沢山高額で買い取った実績があった。
一方で人情に流された高額買い取りも多く、失敗も多かった。
でもそこがみんなに愛された店の所以(ゆえん)でもあった。
まさかこれも、その眼力の成功例・・・?
それともいつもの人情買い取り劇・・・?
いやまさか、だってダンボールだぜ、ダンボール。
『店主さんは箱に思いがけない値段をつけて下さいました。
父はその事をずっと感謝していましたし、何より私も、
女優という小さい頃からの夢を持ち続ける事ができました。
そして先日、父が亡くなる前にあの時の事を話してくれたんです。
あの時、箱をいくらで買い取ってくれたのかも初めて聞きました。
勿論あの時、父は私のおもちゃの質入れを反対していました。
ですが私がどうしてもと言うのでひとまず質入れを承諾しました。
どうせ値が付く訳ないし、すぐにそっと買い戻すつもりだったと。
ところが思わぬ高額になり、すぐに買い戻す事もできなくなり、
しかしそのお金で事業を立て直すことができ・・・
だから私の女優の夢を叶える為なら何でもしようと思ったと。
そしてお店の初代が亡くなった事、店の閉店の噂を聞いた事。
噂が本当なら、お前なら店を助けてあげられるかもしれない、と。
いわば父の遺言とも言えます。父はお店の存続を望んでいました。
私も同じ気持ちです。でもそれは私達の勝手な望みかもしれません。
ですので、もしあなたが父と私と同じお気持ちでおいでなら、
私はあなたのお力になれると思います。
そしてその為に私は今日、ここに来ました。』(*´ー`*)
To Be Continued (次号へ続く)
(´o`)п(´o`)п(´o`)п
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【編集後記】
今号を執筆しながら、いや今号に限らず、
最近執筆しながら良く考える事があります。
このメルマガの一番の目的は、
読んでくれた人に幸せを感じて頂く事、です。
良く考えている事とは他でもありません。
この目的、ちゃんと果たせてるかな、と。
果たせてるかどうかはわからないけど、
せめてここに出てくる人物達は幸せにしてやりたいな、と。
でもそもそも幸せってどんなものだっけな、と。
あなたの幸せってどんなものですか?
次号、何故じいちゃんはダンボール箱を高額買取りしたのか?
が明らかに!!
今号も最後までお読み下さりありがとうございました。
m(__;)m
9月某日 ライティング兼編集長:メリーゴーランド