僕は見た、そしてあなたは美しい■アースダンボール メルマガVOL107■2021年3月号-2
美しいものって一体なんだよ!!
雄大な自然景色?
有名画家の絵画?
クラシック音楽?
確かにどれも美しいとは思うけど。
あああ~わかんない!
小学4年生にその課題は酷すぎるよ、先生!
でも僕はそろそろ決めなきゃならない。
美しいものって一体何なのかを・・・
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あれは僕が小学4年生の時だった。
今でも"美しいもの"を見るとあの時をほんのり思い出す。
それ程、僕に美しさの概念の元になった出来事だった。
それは国語の授業で出た作文の宿題。
題は『私が美しいと思うもの』。
可能ならそのものの写真も添えて。
一週間後の授業で各自発表。
小学4年生はあまり"美しい"という言葉を使わない。
だから皆かなり困った様子だった。
僕はひとまず、現代子っぽくググってみた。
"美しいもの"・・・カチャカチャカチャ・・・検索っと。
1ページ目には、書籍のタイトル、美しいの概念などが出た。
理解はできるけど、なんか心が動かなかった。
そこで僕は母親に聞いてみた。
『ねえ、母ちゃん、美しいものって、何だと思う?』
『ええ?ダイヤとか、真珠とか、ブランドバッグとか~!!』
『そっか、そうだよね、確かに美しいよね』
またしても僕の心は動かなかった。
そこで今度は父親に聞いてみた。
『ねえ、父ちゃんにとって美しいものって、なに?』
『ええ?? そりゃお前・・・
石○さとみとか、桐○美玲とか、エ○ワトソンとか~!!』
『美人の女優さんばっかだね・・・』
『そりゃそうさ、お前も大人になればわかるさ。
でもまあ、一番美しいのは母さんだけどな』
『ああ、そこ重要だよね。お父さん的に』
『だろ?そんなお父さんの心が美しいだろ~。なんてね』
んん? 心が美しい? なるほど、そういうのもあるか。
僕の心が"ピクッと"少しだけ動いた。
更にその時、つけていたラジオからこんな曲が流れた。
"それではリクエスト曲をお送りしましょう!
ラジオネーム 赤い彗星さん からのリクエストです。
ザ・ブルーハーツで、リンダリンダ"
ド~ブネズミ~、みたいに~、美しくなり~たい~♪
写真~には~、写らない~、美しさ、があるから~♪
リンダリンダ~!!♪リンダリンダリンダ~あ~!!♪
んん?ドブネズミが美しい?写真には写らない?
僕の心が、今度は"ピクピクっと"2回動いた。
『父ちゃん父ちゃん!この曲知ってる!?』
『勿論!俺の青春ど真ん中の曲だ。最高だよな、リンダリンダ~♪』
『うん、わかんないけど、なんかいい感じだよね』
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僕はおぼろげながら何か書けそうな感じがしていたが、
文章にするにはもう少し具体的な感情が必要だった。
その夜、父がテレビでボクシング世界タイトルマッチを観ていた。
普段ボクシングに興味が無い僕も隣で何となく見ていた。
試合は最終ラウンドまで進み、激闘の末挑戦者が勝利した。
両者とも最後まで闘いきってズタズタのボロボロだった。
そして敗者となった前チャンピオンのインタビューで、
彼は既にボロボロなのに大泣きに泣きながら
"すみません、ベルト守れなかった、ホントにごめんなさい"
と、何度も何度も謝っていた。一体誰に謝ってるんだ?
全力で闘いきって破れた彼を誰が責めるというんだろう。
それ程、絶対に守りたいものだったんだろうな。
そう思うと、僕も泣けてきてしまった。
その時、その選手の姿に"美しい"に似た感情を感じた・・・。
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ボクシング中継が終わったのは夜9時前。
9時からは"映画ドラえもん"がやっていたので、
宿題の思案そっちのけでテレビに向かった。
しかし、さっきと似た感情をまたもや味わうことになった。
のび太はジャイアンにぼっこぼこにされているのに、
何度やられても立ち上がってジャイアンに向かっていく。
どれだけやられようと、何度でも、何度でも。
未来に帰ってしまうドラえもんを安心させる為に・・・
ふと隣で見ている父を見ると涙でボロボロだった。
『のび太くんにもよ~、守りたいもんがあんだよな~。
美しい、美しいよな~、こののび太くんさあ~』
と、父は画面と僕を交互に見て泣きながらそう言った。
大事な物を必死で守るのび太が美しいか・・・
素直に僕もそう思えた。
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その翌日。僕に宅配便でダンボール箱が届いた。
それは海外のショップにしかない超レアグッズで、
父に何度も頼み込んで取り寄せてもらったものだった。
そしてその箱を玄関で受け取った時だった・・・!!
更に、緊張しながら箱を開封した時だった・・・!!
ハイテンションでグッズを握りしめたその瞬間に、
作文のテーマが決まった。
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そして作文発表の日、僕の番になった。
僕が用意した写真をみんなに見せると、
みんなの目が丸くなった。そしてざわめき始めた。
『あれが美しい・・?どうかしてんじゃねえの??』
その写真は、レアグッズが入っていたダンボール箱。
何か所も潰れて汚れてボッコボコになったダンボール箱だ。
『おおい、みんな静かに~!じゃあ、作文を聞かせてくれ』
先生がそう言うと、みんな僕の読み初めを静かに待った。
『僕が美しいと思うもの。
僕が美しいと思うのは、このボコボコのダンボール箱です。
多分、皆にはちっとも美しく見えないかもしれません。
でも、僕にはとても美しく見えます』。
僕は一旦、皆の顔を見た。皆が続きを待った・・・
『僕はこの宿題が出てから美しいものについて考えました。
そして、美しいものというのはもしかしたら、
一見して美しく見えるものだけじゃないのかもしれない、
それから、目には見えないものの中にもあるのかもしれない、
それから、言葉には表せないような美しさもあるかもしれない、
そう思いました』。
僕を見る皆の目つきが少し真剣さを帯びてきた・・・
『先日テレビで観たボクシングの世界タイトルマッチ、
ボロボロになった敗者の涙がとても美しいと思いました。
それからその後にテレビで観たドラえもんの映画、
ボコボコになっても闘うのび太を美しいと思いました。
大切なもの守る為に闘う姿が、とても美しく見えました。
このボロボロのダンボール箱もそうです。
この箱は沢山の人の手を渡って僕のところに来ました。
箱を作ってくれた人、商品を箱に入れてくれた人、
商品を宅配便に渡してくれた人、受け取ってくれた宅配便の人、
箱を飛行機に積み込んでくれた人、箱を仕分けしてくれた人、
僕の家まで届けてくれた人・・・
その人達みんなが、無事に届くように働いてくれました。
つまりそれは、商品が届いて喜ぶ人の笑顔の為に、
つまりそれは、僕の笑顔を守る為に、
闘ってくれたんじゃないか、そう思えたんです。
わざと箱を傷つける人なんていません。
箱を運ぶ上で箱が傷つくのは仕方ない部分もあります。
だからこの箱自身もこんなにボロボロになりながらも、
無事に商品を僕まで運ぶ為に闘ってくれたんじゃないか、
そう思えたんです。
おかげで箱の中の商品は無事でした。
美しいと言ってもいいものかどうかわかりませんが、
誰が何と言おうと、僕はこの箱を美しいと思います』。
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あれから12年、僕は今、就職活動の真っ最中だ。
そんな中、ある企業のスタッフ募集記事の企業紹介欄に、
"一風変わったメルマガがちょっぴり話題の企業"と書いてあった。
なんぞ・・? とそのメルマガのバックナンバーを読んだ。
"な、なんちゅうメルマガだよ! でも、なんか・・・
そこにはあの作文の時に味わった感覚と似た感覚があった。
"ダンボールにこんな感性を吹き込むなんて・・・"
以来、第一志望はその企業になり、今日はその企業の採用面接。
『では次の方、どうぞお入り下さい』(*^-^)
『は、はい、宜しくお願いします!!』(^□^*)
『貴方の、弊社、アースダンボールを志望する理由は?』(^ω^)
『はい、それは・・・・・』(*´∀`*)
FIN
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【編集後記・へんしゅうこうき】
SNSを見ると、
沢山のダンボールアーティストさんが活躍されています。
どの作品も凄く綺麗で美しいな~と、いつも思わされます。
で、うちが表現できるダンボールの美しさって何だろう?
と思ったのが今回の執筆の始まりでした。
そして執筆の途中でもっと凄いことに気づきました。
大切な物を守る為に貴方が想いを込めた商品やサービス、
そんな美しいものを運べる箱を作れて幸せだと。
そして箱が潰れることでそれを"守る事ができるなら"
うちの箱達は喜んでボコボコになります。
最後までお読み下さりありがとうございました。
m(__;)m
ライティング兼編集長:メリーゴーランド