孫 vs おばあちゃん!!恋バナ今昔物語■アースダンボールメルマガVOL172■2023年12月号

元カレから貰ったモノってみんなどうしてるの? 最近、彼氏と別れた私は身の周りを見てふと思った。 考えあぐねていた私に一番ナイスな言葉をくれたのは、 一番意外な人だった! ねえ、おばあちゃん、おばあちゃんがこんなにイケてたなんて 全然知らなかったよ!! (´o`)п(´o`*)п(´o`*)п **************************** 私は愛月鳴海(あいつきなるみ)高校三年生。 二年近く付き合った人生で初めての彼氏と別れたばかり。 その人は大学生で、家がそこそこ裕福。でもバイトもしてて、 付き合っていた間に貰ったモノが結構ある。 ケンカしたとか嫌いになったとか浮気されたとか、 そういうのじゃなくて、ちゃんと話し合って互いに納得して決めた。 だから辛い思い出でもなくて、どっちかって言うと良い思い出。 なら問題ない、頂き物も有難く使い続ければいいわよね。 そう思うんだけど、何かが心に引っかかる。 それ以前に捨てるなんてもったえない! 捨てられるモノがかわいそう。 私はいつしか自分が何に悩んでるのかわからなくなっていた。 友達に聞いてみると、 『私は即廃棄!あたりまえじゃん、今彼に悪いし!』 とか、 『私は全然気にしない、物に罪はないし、物と心は別よ、別!』 とか、 『金目のものはお金に換えて後は廃棄かあげちゃうかっしょ!』 というツワモノまでいて、意見はバラバラ。 でもバラバラで当然よね。正解なんて人それぞれだし。 じゃあ私は…? やっぱりスッキリする答えが見つからない。 そこで思いついたのが、捨てるでもあげるでも、売るでもない方法、 "一旦しまう" だ。 手っ取り早くその辺のダンボール箱に入れて、押し入れに入れてと。 でも所詮は "先延ばし" と同じなのよね… 私は答えを探し続けた。 (´o`)п(´o`*)п(´o`*)п **************************** そんなある日、天気のいい日曜日の昼下がり。 おばあちゃんが縁側で野良猫のミケちゃんを撫でていた。 『ミケちゃん、また来てるんだね』 『そうね、すっかりこの家が気に入っちゃったみたいね』 『この家っていうか、おばちゃんが好きなんじゃない?』 『それはそれで嬉しいけどね』 『好きって言えばその子、この辺のオス野良達と仲いいよね』 『そうみたいね。桜カットあるから大丈夫だとは思うけどね』 (桜カット:猫の避妊・去勢済を示す為に耳に桜模様のカットを入れる事) 『複数のオス猫とお付き合いなんてこの子も隅に置けないね』 『お付き合いって言えば鳴海、大学生の彼氏さんと別れたんだって?』 『うん、色々あってね。でももうそれは大丈夫だよ』 『大丈夫…ねえ。鳴海、何か悩んでるだろう?』 『なんでそう思うの?』 『私だって何年も鳴海のおばあちゃんをやってるのよ』 『う~ん、でもおばあちゃんにわかるかな~』 『あ~、お前、私を馬鹿にしたね~』 『してない、してないよ~、でもなあ~』 『ふんっ、ばあちゃんをなめなさんなよ。いいから話してみ…』 ___________ 私はおばあちゃんに悩みを打ち明けた。 おばあちゃんとこんな話をするのは初めての事だった。 するとおばあちゃんは、 『ちょっと私の部屋へおいで』 と私を自分の部屋に連れて行った。 すると押し入れの奥からごそごそと一箱のダンボール箱を引っ張り出した。 『うわ!すごく古っぽいダンボール箱!なにこれ』 『まあ、お前にだけ特別に見せてあげるよ、ほら』 と言って蓋を開いた箱の中には、 バッグやアクセサリーや、雑貨や洋服類、色々入っていた。 『なに?これ』 『全部貰いもんさ』 『誰に貰ったの?おじいちゃん?』 『いいや、全部、元カレから…』 『も、、モトカっ!!』 私は目を丸くしておばあちゃんと箱を交互に指差さした。 『すごい!こんなに!沢山くれたんだね、その人』 『いやいやそれも少し違うんだよ』 『違うって、何が?』 『その人、じゃなくてね…その人達!』 『タチ!複数ってこと!?なな、何にん、くらい?』 『はっきりとはあれだけど、このくらい、かしらね…』 おばあちゃんは両手のひらを広げた。 あまりにも衝撃的な告白に私は言葉を失った。 『あ、おば、えと、つまりなんていうか、だからその…』 『そんなにびっくりかい?まあでもびっくりもするか。  こうみえても私、結婚前は随分モテてたんだよ。  ついでに私も気が多い方でさ。沢山の人と付き合っちゃってさ』 『沢山って、ふ、ふたまたとか、みつまたとか!?』 『ちゃんと一人づつさ。あ、でも一時期…まあこれはいっか』 私の受けた衝撃は2倍3倍に膨らんだ。 だって私のおばあちゃん、あの上品なおばあちゃんが!! 『い、色々聞きたいけど何から聞いていいかわかんない!!』 『あらそう、じゃあ私が話そうかね。  それでお付き合いした人から色々と頂いてね。  それはいいんだけど、実はお前と同じ事が気になって、  私もダンボール箱に一旦仕舞い始めたのがこの箱の始まりなんだよ。  それから彼氏が変わる度に元カレの品をこの箱に入れ続けてね。  元々、使える物を捨てるのがもったえない性分ってのもあってね、  いつの間にかこんなになっちゃってね…  お前は私に似たのかもね。血は争えないってやつかしらねえ』 おばあちゃんもかつて、私と同じ事を考えた時期があった。 私とはレベルが違うけど… 『で、このダンボール箱が今もここにあるって事は?』 『そうだね、そこが大事なとこよね。  最初こそ、お前みたいにモヤモヤ考えながらこの箱を使い続けてね。  でも何番目の彼氏の時かは忘れちゃったけど、ある時ふと思ったのよ。  思い出の仕舞い方なんて人それぞれで、どれが正解なんて無いじゃん。  だったらこれが私とこの品物達の関係でもいいんじゃないかって。  このダンボール箱の空間は、紛れもなく私の心の空間の一部そのもの。  だからこの箱の存在を否定する事は自分を否定する事になるかもって。  なら私はこの箱を、自分を否定しないって決めたのよ。  そしたらね、それまでよりもこの箱や箱の中身や、  何よりも自分自身をずっと好きになれたのよ』 『この箱は自分の心の一部。つまりは私の一部…  そっか、そんな風に思ったのか…じゃあさ』 『んん?』 『いつか私もそんな風に思える時が来るのかな?』 『それはわかんないねえ~』 『ええ~なんで~』 『だから言ったろ、人それぞれだって。  要は自分に一番いい整理の付け方が見つかるかどうかなんだよ』 『自分に一番いいか。確かにそうよね…うん、そうよね』 私はおばあちゃんの言葉がとてもしっくり来た。 『でも私、もう一つわかった事があるのよ。しかも今日わかったの』 『何がわかったの?』 『この箱をずっと持ち続けた理由さ。それは、  今日、お前にこの話を聞かせてあげる為だったって。  私の夢でもあったのよ…孫と恋バナ!!』 そう言っておばあちゃんはニッコリ笑った。 この笑顔が見れたから、私の悩みもまんざら悪いものじゃない。そう思えた。 『ねえおばあちゃん、このバッグ、レトロだけど超かわいい~!  レトロかわいいって感じ!』 『あら気に入ったの?あげよっか!』 『ほんとに!!嬉しい!!ありがとう!!』 『使って貰えるならこのバッグも喜ぶよ』 『このバッグ、何番目の彼氏さんから?』 『3、あれ4だったかな?…忘れちゃった』 『ところでおばあちゃん、おじいちゃんもう死んじゃったから聞きたいんだけど』 『なあに?』 『おじいちゃん、この箱の事、知ってたの?』 おばあちゃんは少し微笑んで静かに首を横に振った。 『今まで誰にも話した事はないよ。  もし私に娘が居たら話したかもしれないけどね。娘はできなかったし。  だから、お前が話した最初の人だよ』 『そうなんだ、それは光栄です、はい。  なんか今のおばあちゃん、あの映画のセリフの人みたい、なんだっけな』 『うふふ、タイタニックじゃない!?』 『そう、タイタニックだ!ローズが最後の方で言うセリフだ!!』 『私もあのセリフだあ~い好き、何度観たかわかんないわ』  "女の心は海のように秘密が一杯なの" FIN 98-2 (´o`)п(´o`*)п(´o`*)п ****************************     【編集後記】 どうしてでしょう?世の中には 捨てたくても捨てられない物があったり、 捨てたくないのに捨てなきゃならない物があったり。 そしてそこには色んな感情が混ざり合って絡まり合って。 本当に大変です。 そんなとても大変な場面に、一つのバッファ的に ダンボール箱が役に立つ時が多々あります。 "仕方ないのでとりあえず" この曖昧な言葉を、 ダンボールはいとも簡単に受け入れてしまう不思議なアイテムです。 いやむしろ、それは既にダンボールの大事な仕事の一つと言っても、 過言ではないかもしれません。 とりあえず仕舞ういいダンボール、弊社は作ってます。 今号も最後までお読み下さりありがとうございました。 m(__;)m ライティング兼編集長:メリーゴーランド

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