ダンボール恋愛ヒミツ兵器論 -後編-■アースダンボールメルマガVOL153■2023年2月号-2
~前回までのあらすじ~
俺は倉間洋介(くらまようすけ)32歳、独身。
高校生の時にできた彼女を家に呼んだまではよかったが、
部屋中に飾られた俺の"趣味"を見た途端ドン引きされ、失恋。
以来、俺はその趣味をダンボール箱の中に押し込み隠し、
一緒に他の色んな気持ちや感情までも押し込んで表に出せなくなり、
それが原因でその後の恋愛が全くうまくいかなくなってしまった。
俺はそんな状況を打破すべく結婚相談所に助力して貰うことを決意。
その結婚相談所のトップカリスマアドバイザーの結納(ゆいのう)さんに、
同じ結婚相談所会員のある女性を紹介されてリモート面談に臨んだ。
俺は一瞬で画面の向こうの女性、白井明日香さんに心を奪われてしまった。
しかし、せっかく話も弾む中、俺の後のリモート用背景が突然転倒し、
白井さんに俺の部屋全体を見られてしまう。
そしてその中から例のダンボール箱を見た白井さんの様子が急変!?、
『その、そのダンボールの中、見せて頂けませんか!?』
という言葉が、こわばって震える白井さんの口から飛び出した!
彼女の突然の申し出に俺は固まってしまった・・・
一体、これって一体どういう状況なんだ!?
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彼女の顔からは笑顔が消え、少し震えたような声でこう言った。
『その、そのダンボールの中、見せて頂けませんか!?』
『・・・は、はい?』
『み、見せて欲しいんです、その箱の中・・・』
『え、えっと、なんでまた突然・・・』
『失礼なのは充分承知しています。変な奴だと思われますよね。
まだ親しくもない方にこんなお願い、普通はしないですよね。
ドン引きしてしまったら本当にごめんなさい、でも、でも、、
見せて欲しいんです・・・もし、よかったら・・・』
彼女の真剣な表情とピンポイントでダンボールを指してきた事に、
俺の思考は停止状態、になりかけたが何とかグリグリと回転させ、
彼女にかける言葉を探した。でも上手く言葉が出てこない。
そして彼女はまたうつむいてしまった。
泣きそう、なのか・・・?
その時、結納さんの言葉がフッと頭に浮かんだ。
『お相手の話をよく聞いてあげて下さい。
自分の真意を伝えたい時こそ、お相手の真意をくみ取りましょう』
そっか・・・
『わかりました、白井さん。いいですよ、お見せします』
『あの、私、本当にごめんなさい・・・』
『気にしないで下さい。本当に』
『怒って、らっしゃらないのですか?』
『ちょっとびっくりはしましたけどね、怒ってはないです』
『あの、実は私・・・』
彼女は静かに話し始めた。
『子供の頃、父と母がよくケンカをしてたんです。
父はよく家族に内緒で買った物とか捨てる約束した物とか、
見られると都合の悪い物をダンボール箱に隠す人だったんです。
でもズボラっていうかいい加減っていうか、隠すのも下手で、
しょっちゅう母にみつかってその度にケンカしてたんです。
主婦の目なんて欺けるはずないのに懲りずにまた隠して。
私、子供ながらに男の人ってバカなのかしらって思っちゃって。
母から「お前はこんな男を選ぶんじゃないよ」ていつも言われて。
男の人はダンボールに何かを隠す、なんて先入観も加わって。
それに気づいた時はもうトラウマっぽくなってて。
男の人を好きになる度に、何も隠さないで、全部見せてって思っちゃって、
相手の気持ちも考えずにどんどん知りたがって突っ込んじゃって、
結局それが原因でフラれるばっかりで・・・
男の人みんながそうじゃないって頭ではわかってるのに。
隠し物や隠し事の一つや二つ誰でも普通にある事なのに。
貴方の箱の中身が何だっていい。私はそれを否定なんてしません。
たとえそれが大人の映像作品だろうと元カノの思い出だろうと、
マニアックな趣味だろうと、私は絶対に否定なんてしません!!
ただ教えて欲しいだけなんです。ただ見せて欲しいだけなんです。
ただ、そうしてくれる人に出会いたいだけなんです。
出会えたら私も変われるかもって思うんです。
でも結局は他人だより。都合良すぎ。
ごめんなさい、やっぱり私・・・もういいです・・・』
そういって彼女は回線を切断しようとした。
『ちょっと待って、待って下さい』
俺はそう言って画面の前でダンボールの中身を広げて見せた。
(こんなにストレートな "あなたを知りたい" って初めてだ。
彼女の父親と俺がダンボールを使った理由は根本的には同じだ。
でも彼女にはどんな理由で何を隠したかが問題なんじゃない。
彼女にとって大切な人が本当の自分を見せてくれる事こそが、
彼女が望む絆の形なのかもしれないな。
あの日、箱に押し込んだ自分らしさをこんな形で解放する日が来るなんて。
俺はこの人に、本当の自分を見せてもいいんだな。
本当の自分を見せるだけでいいんだな。)
『どうですか、これ、人に見せたのは何年かぶりです』
『何年かぶり・・・?』
『ええ、人に見せるのが怖かったんです』
『怖かった?』
『はい、怖かったんです。自分の好きを否定されるのが』
『好きを、否定?』
『だから待ってたのかもしれません。僕の好きを否定しない人を』
『好きを、否定しない人?』
『ええ、そしたら今日、会えました』
『・・・・』
『で、どうですか?これ』
『はい、とっても、・・・』
『あ、好きとか嫌いとかはちゃんと言って下さいね』
『はい、とっても、とってもかわいいです』
『よかった、かわいいって言って貰えて』
『今度、手に取って見てみたいです』
『ええ、ぜひ』o(^∀^*)o
『よ、よろしくおねがいします』(//・_・//)
オンライン面会終了後、結納さんが打ち明けた意外なジンクスとは!?
それは編集後記で↓↓
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【編集後記】
『結納さん、今度、白井さんと会う事になりました』
『良かったですね、倉間さん。私も嬉しいですよ!』
『こうなるとわかってて、僕と白井さんを?』
『そんな事はありません。もしそれがわかれば苦労しませんね、ただ』
『ただ?』
『長年の勘っていいますか、ビビっと来る時はありますね』
『ビビッと?なんですか、それ?』
『ああ、すみません、ひと昔前に流行った言葉で、、』
『そうだったんですか、いや、でも本当にありがとうございます』
『実はここだけの話なんですけどね・・・』
『はい・・・?』
『ダンボールがラッキーアイテムになる時って結構あるんですよ』
『そうなんですか!?』
『私達の間ではジンクス高いんです!』
『へえ~・・・あるんですかね~、そういうの』
『まあ、只のジンクスですけどね』
FIN
最後までお読み下さりありがとうございました。
m(__;)m
ライティング兼編集長:メリーゴーランド