ダンクシーの絵画は私だけに微笑む■アースダンボール メルマガVOL101■2020年12月号-2
『おい朝霧、本当に本当なのか!?』(o゜□゜)o
『はい、何度も確認しました。間違えないです』
『本当にあのダンクシーが取材OK出してくれたのか!?』
『はい、あのダンクシーです!』(`・ω・´)
『なら世界初だぞ!お前、一体どんな魔法使ったんだ!?』
『いえ、別に、ごく普通に・・・』
『とにかく、とにかくエライこっちゃ~!!』(@゜Д゜)@
(´o`)п(´o`)п(´o`)п(´o`)п(´o`)п
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私は朝霧留美(あさぎりるみ)27才、独身。
アート系雑誌"ART VOGUE(アートヴォーグ)"の記者をしている。
ダンクシーは世界中の誰もが知るドイツの超大物画家。
性別も年齢も本名もビジュアルも未公開の謎の人物。
ダンクシーの社会風刺画は人の心にダイレクトに刺さってくる。
そしてダンクシーのキャンバスはなんと、全てダンボール板!
更に必ず絵の中に猫が描かれる。その為、
日本限定ではあるが"ニャンクシー"のニックネームもある。
更にはメディアの取材を一切受けない主義でも有名。
そんなダンクシーが近く来日するとの情報が舞い込んだ!!
私は持てる人脈とコネの全てを使って取材を申し込んだ。
そしてなんと・・・OKが出た!!!
やっと、やっとダンクシーに会える。
私にはどうしても会いたい訳がある・・・
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ダンクシーは日本人では?という噂は業界の通説。
ダンクシーのダンはダンボールのダンでは?という説だ。
取材の日、ダンクシーが指定したのは都内のごく普通の喫茶店。
全て未公開の人物は逆に気軽な外出ができるらしい。
そして待ち合わせの席には一見普通の日本人男性が居た。
『どうも、ART VOGUEの朝霧留美です、本日はありが、、』m(- -*)m
『留美姉(ルミねえ)!やっぱり留美姉なんだね!!』ヾ(o´∀`o)ノ
『か、和也・・・くん。や、やっぱりあなたなのね』(゜゜)
『うん、和也だよ、会いたかった、留美姉!』ヾ(o´∀`o)ノ
(´o`)п(´o`)п(´o`)п(´o`)п(´o`)п
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私と1つ年下の和也は家が近所でいつも一緒に遊んでいた。
和也は私を『留美姉』と呼び、いつも私に引っ付いていた。
和也はどこか天然ボケでとてもお調子者の子だった。
私はよく『もお、バカなの~!?』と言いながら弟みたいにかわいがった。
私達は一緒に絵を描くのが好きだったが、普通の画用紙ではなく、
大きなダンボールを貰ってきてダイナミックに描くのが好きだった。
あの頃は私の方がずっと絵が上手で、和也はいつも悔しがっていた。
でも、私が7歳、和也が6歳の時、和也は突然居なくなった。
『ねえ、なぜ黙って消えたの? 私ずっと・・・』(´;ω;`)
『ごめん留美姉。親の離婚で急に家を出る事になって、
連れてこられたのがいきなりドイツで・・・』(_ _。)
『誰に聞いてもわからないし、探すあても無いし。
でもずっと想ってて・・・やっと、やっと会えた』(´;ω;`)
『本当にごめん。でも俺、必ず再会して約束を果たすって決心して、
ずっと絵を描き続けたんだ。ダンボールに』( ´ー`)
『や、約束・・・?』(・・?)
『まさか留美姉、忘れたの?ほら、これ見だよ』
和也、ダンクシーはダンボールに描かれた1枚の小さな絵を出した。
『あ!う、うそ! 和也、まだ持ってたの、それ!?』(((((°°;)
『当たり前だよ。これだけを支えに頑張ってきたんだ。
留美姉より絵が上手になったら俺と結婚してくれるんだよね!』(ノ゜Д゜)ノ
『け、けっこ・・ま、まさかその為に絵を続けたの!?』(・・?)
『そうだよ!画家になったのはその延長でたまたま!』(ノ゜Д゜)ノ
『え、えええええ~~!!!』(°◇°;)
それは和也が(勝手に)描いた、私と和也の結婚式の絵だった。
それがあまりにもヘタだったので思わずこう言ってしまった。
『ヘタクソ!そんなヘタな絵しか描けない人と結婚したくないよ』
『じゃあ留美姉より上手に描けるようになれば結婚してくれる?』
『いいわよ!その時はしてあげる。どうせ一生無理だろうけど』(¬∀¬)=3
我ながらダンクシーに向かって恐ろしい事を言ったもんだ。
『それで俺、留美姉より上手くなった?結婚してくれる?』ヾ(゜з゜*)ノ
『ちょ、ちょっと待ってよ!バカなの!?再会してまだ2分・・』(^◇^;)
余りにも展開が早すぎて頭がこんがらがってきた・・・
『わ、私の、私の話も聞いて・・・
和也が突然消えた日から、私の中にはずっと和也が居たの。
それで私が進路で悩んでる高校3年生の時、
ダンクシーのダンボール画作品が突然世に出てきたの。
その作品を見た時、和也だって一瞬で確信したの。
でもダンクシーは全てが謎で連絡の取りようもない・・・
だから私、アート業界に進もうって進路を決めたの。
いつかあなたとの接点ができるんじゃないかと思って』(* v v)
『そう、だったんだ・・・実は僕も数年前、
ART VOGUE のダンクシーの作品紹介記事のライター名が
"朝霧留美"ってあったから、留美姉だ!ってわかったんだ』
『ええ!じゃあなんでその時連絡くれなかったのよ!』(# ゜Д゜)
『ダンクシーを名乗る迷惑メールとかが世界中で横行しててさ、
連絡しても信じて貰えないんじゃないかと思って』(´д`* )
『なら、本名で連絡すればいいじゃない!!』(# ゜Д゜)
『あ、そっか。その手があったな』(゜ ρ ゜)
『そっかって、やっぱバカなの?全然変わってないわね』(=゜ω゜)
『ははは、、留美姉のセリフも変わってないね! それとね、
その時はまだ留美姉より絵が上手になったと思えなかったんだ』
『私よりって。ダンクシーでしょ!世界のダンクシーでしょ?』(# ゜Д゜)
『うん、確かに世界中に認めて貰えてる。
でもあの頃留美姉が描いた絵ほど心が幸せになれる絵を、
まだ見たこと無いんだ。俺には留美姉の絵が今も一番なんだ。
有名画家の絵も自分のでも、あの絵には敵わないんだ』(´▽`).。
『あ、えっと、じゃあ私、今からでも画家に転身できるかしら。
ってそうじゃなくて!!
それじゃずっと私に再プロポーズできないよね!?』(# ゜Д゜)
『そうなんだよね。でもそう思いながらも活動続けてたらさ、
ついに来たんだ、取材の申し込み、留美姉からの!!
その時にさ、ビジネスパートナーに留美姉のこと話したんだ。
したら彼は俺にこう言ったんだ。
"バカだなー、ダンクシーは。
その人より絵が上手いかなんて、その人に決めてもらうしかないじゃん"
って。その時、あ、そっか、って思ったんだよ。
で、取材OKして、会って、決めてもらおうと思ってさ』(´▽`)
『あ、そっか、じゃないわよ!やっぱりバカなの?
そ~んな理由であのダンクシーが取材OK!?
私が原因っっだけど、これで記事なんて書けないわ・・』(;´д`)=3
『でさ、どう?俺の絵! 留美姉より上手になった!?』(´▽`)
『ああやかましい!、頭の中がそれどころじゃないわ!
それより少しは仕事らしい質問させて。なんで一切取材NG?』
『ああ、それ? 最初は、単に面倒だったから。
でも留美姉が業界誌のライターやってるって知ってからは、
いつか会えた時に留美姉をビックリさせようと思って。
初取材受けるのは留美姉!って決めてたんだ。』(´▽`)
ああ、ああ~、やっぱりね、この数分でそんな気がしてたわ。
でもそのサプライズ、いらね~わ~・・・(;´д`)=3
『じゃあダンクシーって名前は?』
『ダンボールのダン。あとダンケシェーンと似てるから』(´▽`)
ああ、ああ~、ダンクシ~が、世界のダンクシ~が~(;´д`)=3
『じ、じゃあ必ず猫を含めるのはなぜ?』
『あの猫は昔留美姉んちに居た子だよ。三毛柄が同じでしょ!』(´▽`)
ああ、やっぱりね・・・(;´д`)=3
私はもう半ば呆れて、いや諦めて。いや、ほっと一安心して、
ダンクシーが和也であることを、あの時の和也であることを噛み締めた。
『で、留美姉、ちゃんと聞かせて。どっちの絵が上手!?』(´▽`)
『ふん、そう、ね、、あなたも、まあ頑張ってるわね。
でも、私の腕前にはまだまだ届かないわね・・・』( ̄ー+ ̄)
『そ・・っか、わかった、俺もっと頑張るよ・・・』(´・ω・`)
『でもま、あの契約内容、条件付きで緩和してあげなくもないわよ』(〃ー〃)
『条件!?なに? なんでもする!なになに?』(;゜Д゜)
『二度と、もう二度と私の前から黙って居なくならないで』(〃ー〃)
(´o`)п(´o`)п(´o`)п(´o`)п(´o`)п
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その翌日・・・
『おい朝霧、取材はどうだった!?』(゜∀゜)
『あ、チーフ、実はど、ドタキャンされちゃって』(;^ω^)
『・・・ふ~、やっぱりそんなこったろうと思ったよ。
大方、ダンクシーを語るイタズラ野郎だろ』┐(´∀`)┌
『お騒がせしちゃってすみませんでした』(;^ω^)
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数日後、ドイツに戻った彼から一通のメールが届いた。
"ねえ、留美姉と再会できたのってダンボールのおかげ、だよね。
ダンボールってね、日本とドイツじゃ質感が全然違うんだ。
国によって全然違うんだよ。絵の仕上がりも違って面白いよ"
彼はこれからも世界中のダンボールに絵を描き続ける。
彼を世に紹介するのは、もう少し後にしよう。
FIN
※この物語はフィクションです。
特に、かのイギリスの超有名アーティストとはなんら関係がありません(;^ω^)
(´o`)п(´o`)п(´o`)п(´o`)п(´o`)п
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【編集後記・へんしゅうこうき】
あなたには朝霧さんのような体験はありますか?
幼馴染や昔の知り合いが超有名人になっちゃった、とか、
逆にあの超有名人と実は昔少しだけ関りがあった、とか。
まあ、朝霧さんのような例は超レアだとして・・・^^;
ただ今回の編集をしながらずっと思ってた事があるんです。
有名人だとかそうじゃないとかはひとまず置いといて、
ダンボールが繋ぐ縁って本当に沢山あるんですよね。
ある意味こうしてあなたにこれを読んで頂いているのも、
ダンボールが繋いだ縁なんだな~、と。
m(__;)m
12月某日 ライティング兼編集長:メリーゴーランド