シンデレラは雷雨の日に現れる -前編-■アースダンボールメルマガVOL103■2021年1月号-2

イケメン、成績優秀、スポーツ万能、人格良し。 どうやらこの高校では僕がその存在らしい。 そしていずれは父が経営する堂上院財閥を継ぐ身。 僕の意志はどうあれ、それが僕の運命だ。 だからなのか、いつも多くの女性に囲まれる。 けどみんな僕のステータス目当てで正直うんざり。 でも、僕はようやく会えた。愛しのシンデレラに。 ただ、実は彼女が誰だかわからないんだ・・・ (´o`)п(´o`)п(´o`)п(´o`)п(´o`)п ************************************************** 98-2 『お前は完璧だ』って友人達はいつも言う。 でも僕には誰にも打ち明けたことが無い秘密がある。 それは・・・ 雷が苦手なんだ。怖いんだ。 小さい頃からこれだけは克服できなかった。 学校や街でも、他に誰かが居れば何とか平静を保てる。 でも一人の時に雷に見舞われると足がすくんでしまう。 そんな僕の部屋には大きなダンボール箱が置いてある。 雷が鳴ると僕はそのダンボール箱をすっぽり被って中に隠れる。 今じゃこれが一人の時に雷をやり過ごす唯一の方法なんだ。 僕が小さい頃、雷が鳴って怖がっていると、 よく母がダンボール箱を僕にすっぽり被せてくれて、 『ほら、この中なら大丈夫よ、怖くないでしょ』J( ^_^)し と優しく言いながら箱の隙間から僕の手をずっと握っててくれた。 ダンボールの暗い空間と紙の匂い、母の優しい手・・・ 花壇の世話好きな母からほんのり香る土と花の香り・・・ それらは僕をとても安心させてくれた。 そんな母も僕が小学生の時に亡くなってしまったので、 ダンボール箱だけが救いになっているというわけで・・・ (´o`)п(´o`)п(´o`)п(´o`)п(´o`)п ************************************************** そんなある日。 忘れ物を取りに夕方の校舎を一人教室に向かっていた時、 タイミング悪く突然雷雨になってしまった。 ピシャッ!! ゴロゴロゴロオオオオ!! "ヤバイ!ダンボール、どっかに大きなダンボールは?? そうだ!あそこだ!! 僕は廊下を走り、放送室へ駆けこんだ。 "あった!! 大きなダンボール箱!!"(*゜д゜*). 僕は急いでそのダンボール箱を被ってうずくまり、 ただただ震えながらじっと耐えていた・・・ 早く、早く終われ・・・そう願った時だった。 被った箱の端がスッと斜めに持ち上がった。 "だ、誰だ?" 箱と地面の隙間から足だけが見えた。 "スカート?女の子?うちの生徒?" するとその子がそっと、箱の中に手を入れてきた。 "か、母さん!!まさか!?" まだ冷静でなかった僕は無我夢中でその手を握った。 なんてあったかい手・・・なんて優しい手・・・ そしてほんのりと土と花の香り・・・ 雷が止むまでその人は黙って手を握り続えけてくれた。 そして雷が止み僕が落ち着いた頃、彼女はそっと手を離し、 『もう大丈夫ね』とささやいて部屋を出て行った。 その5分後くらいに僕はやっと箱から出られた。 "一体、あの子は誰だったんだろう・・・" 彼女の手の温もりが僕の手にずっと残っていた。 (´o`)п(´o`)п(´o`)п(´o`)п(´o`)п ************************************************** あの子は一体誰なんだろう?あの子にもう一度会いたい。 でも手がかりが何もない僕は突拍子もない作戦を考えた。 シンデレラを探す王子がとったあの作戦だ。 "僕と握手して欲しい" そうお願いし、その手の感触で本人を探す作戦だ。 大丈夫、僕は彼女の手の感触をハッキリ覚えている。 僕はそれを校内の女生徒全員にやるつもりだった。 他の生徒から見ればとんでもない奇行だったろう。 『堂上院くん、突然どうしちゃったの?』Σ(゜゜) 『わかんないけど、誰かを探してるんだって』( ̄□ ̄) そんな声が校内中を駆け巡ったが僕はお構いなしだった。 "彼女に会いたい"という僕の決意は固かった。 しかし校内の全女生徒との握手をしたが見つからなかった。 おかしい、うちの生徒じゃないのか?いや、そんな筈はない! 僕はあきらめない、絶対あきらめないぞ・・・ To Be Continued 次号へ続く (´o`)п(´o`)п(´o`)п(´o`)п(´o`)п **************************************************     【編集後記・へんしゅうこうき】 誰にでも怖いものってありますよね。 どんなにイケメンでも、頭脳明晰な人でも。お金持ちでも。 でもその怖さを受け入れて一歩踏み込んだ時、 かけがえのないものに出会えるかもしれない。 彼は今まさにそうしようととしています。 彼はシンデレラに会えるのでしょうか? その時ダンボール箱が彼の想いの役に立てることを、 そして彼がシンデレラに会えることを、 なぜか私自身が願ってやみません^^; 最後までお読み下さりありがとうございました。 m(__;)m 1月某日 ライティング兼編集長:メリーゴーランド

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