ダンボール係と花子さん -後編-■アースダンボール メルマガVOL123■2021年11月号-2
~前号までのあらすじ~
僕の小学校に何十年も続いている "ダンボール係" 。
ダンボールに関わる事は何でもやる、いわば何でも屋だ。
そして僕、6年生の神谷章一は今年そのダンボール係になった。
そしてある日、クラスの男子だけで催された肝試し大会。
場所は現校舎のすぐ裏にある普段は使われていない旧校舎。
そしてこの旧校舎で一番怖い場所が廊下の突当りの物置部屋。
電気は無く暗くて、ダンボール箱がいっぱい積んであって、
何故か箱の上にずっと置かれ続けている長い黒髪の一体の人形。
肝試しのミッションは3人1チームでその人形に触れてくること。
次々とミッションをクリアできずにみんなが脱落する中、
僕のチームもバディの2人はビビッて逃げてしまい、
ダンボール係として取り残された僕は一人で挑むことに・・・
(前号の全文はこちらです↓)
https://www.bestcarton.com/profile/magazin/2021-nov.html
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『お、お前ダンボール係じゃん、お前やれよ!?』(;°-°;)
『はあ!? いやダンボール関係ねえじゃん!!』(;`・Д・)ノ
僕がそう言うと別のもう一人が続けて言った。
『ご、ごめん!俺ギブ!先戻るわ!ごめん!!』(ll゜Д゜)
『お、俺もギブ!ごめん、神谷、あと頼む!!』(;゜д゜;)
『頼むって、おい、ちょっ、待てよ!おい!!』(;`・Д・)ノ
バディのはずの二人は行ってしまった。
『ふうう~、ったく、仕方ねえな』ε-(‐ω‐;)
僕は深呼吸してゆっくり扉を開けた。
ガガガッ・・・
僕が真っ先に奥に目をやると、"彼女"はいつもの場所に居た。
やっぱりだ、お前、怖い奴じゃないな・・・
僕はそう呟やいて彼女に近づき、彼女の頬を指で撫でた。
『お前、なんでいつもここに居るんだ?』
そう言って箱に目をやると、ふたの隙間から中に何かが見えた。
『何が入ってるんだ? よし、ちょっと失礼するよ』
僕はそう言って彼女を動かし、箱のふたを開けた。
箱の中には、何かが書かれた古びた紙と鉛筆が入っていた。
僕は夕日で文字が僅かに見える教室の窓際に紙を持ってきた。
紙にはこう書かれていた・・・
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勇気あるダンボール係よ
そなたの勇気ある行動と日頃の仕事ぶりを賞し
そなたの名前を刻む名誉をここに授与する。
これからも学校の為に、地域の為に、村の為に、
ダンボール係の仕事に尽力して欲しい。
初代ダンボール係 持田喜一郎
追伸
この名簿と花子は元の位置に戻してくれ
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もちだきいちろう・・・どっかで聞いた・・・
あ!? こ、校長先生だ!!
校長先生が初代ダンボール係!?
じゃあダンボール係は、50年以上も続いている係!?
そして紙には代々刻まれた名前がずらりと書いてあった。
そ、村長さん!村長さんも!!
あ、区長さんも!!
消防団の団長さんも!!
郵便局の局長さんも!!
ああ!先生、担任の原田先生も!!
そして僕は更に驚くべき名前を目にした。
神谷剛、、、と、とうちゃん、
神谷章矢、、に、にいちゃん、
みんなダンボール係出身者・・・だったんか。
__________
僕は紙に自分の名前を刻み、箱に入れて元の場所に戻した。
『みんな、今日みたいな理由でこの箱を開けたんだな。
それとも、運命がこの箱を開けるように仕向けたのか。
それとも、お前か・・・?あ、花子さん、だったな。
これからもこの箱を頼むよ、花子さん』
僕はそっと花子を箱の上に横たわらせ、皆の所に戻った。
『神谷、大丈夫か!?心配したんだぞ!』( *´ロ`)/
『心配!?心配なら助けに来いよ』(*´ο`*)=3
『いや、それは、その・・・』(* v v)
『まあいいけど。俺もミッションできなかったし』(o´д`o)
『だよな!無理だよな!でも楽しかったよな!』(゜∀゜)
『うん、楽しかった、最っっ高にな!!』(`・∀・´)
逃げ出したあいつらを責めるつもりなんて無いさ。
だって僕はダンボール係。ダンボールの事は何でもやるよ。
家族や大切な人を、街を守るのがダンボール係だからね。
FIN
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【編集後記】
私の小学校は在学中に100周年を迎えた程の伝統校でした。
そして実はこのお話と同じシチュエーションがありました。
旧校舎、廊下の奥の物置部屋、部屋に積んであるダンボール、
そして何故か置いてあるお人形・・・
1年生の時に初めて見た時はちょっと怖かったのですが、
卒業までの6年間も時々その部屋を見る機会がありました。
そして何故か、箱もお人形もずっと同じ位置にありました。
さらに何故か、箱とお人形の所以を、
生徒は勿論ベテラン先生さえも、誰も知りませんでした。
あのダンボールには何がしまってあったんだろう?
あのお人形はいつ誰が作っていつからあそこに居たんだろう?
今号も最後までお読み下さりありがとうございました。
m(__;)m
11月某日 ライティング兼編集長:メリーゴーランド