オッド・アイ ~違う色の目がくれたもの~■アースダンボールメルマガVOL148■2022年12月号
(´o`*)『遂に行くのね、日本に』
( ´v `)『うん、行くよ、日本へ』
(´o`*)『その人に会えるといいね』
( ´v `)『うん、絶対会って伝えるんだ』
(´o`*)『10年越しの告白、悔いの残らないようにね』
( ´v `)『うん、その為に色々頑張って来たから』
だってあの人は私の目を、
真っすぐ私を見てこの目を初めて好きと言ってくれた人だから。
私の、オッドアイを。
(´o`)п(´o`*)п(´o`*)п
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(´o`*)『ねえ、旅立ちの前にもう一回だけ聞かせてよ』
( ´v `)『ええ~、もう10回は話してるよ、めんどい~』
(´o`*)『何回でも聞きたいのよ、あんたとその人の出会い』
( ´v `)『しょうがないな~、じゃあもう一回だけね』
私はエミリア、オーストラリア人、二十歳の女子大学生。
私の目はオッドアイ、虹彩異色症(こうさいいしょくしょう)。
左右の目の色が違う事で猫によくみられる。
人間にも1万人に1人の割合で存在するらしいのだけど、
私はこの目が他人から気味悪がられると思い込んでいた。
小さい頃から父の仕事で世界中を転々としていていたけど、
どこに行ってもいつもうつむき加減で人と関わる事ができなくて、
更にどこの国でも短期滞在の私には、友達が一人も居なかった。
そんな私を一ヶ月だけ滞在した日本で、あの人が変えてくれた。
私が日本に滞在したのは10歳の秋頃の一ヶ月間だった。
来日して学校にも通い始めたけど、いつも通りなじめずにいた。
転校して一週間ほど過ぎた日曜日、私は一人で公園のベンチに座り、
砂場で遊ぶ小さな子達をボーっと眺めていた。
子供達は砂場にダンボール箱を持ち込んでペンで絵を描いたりしていた。
とても楽しそうだった。
すると、その中の一番大きな男の子が私に声をかけてきた。
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(´-`).。oO
(*゚ー゚)『お前、転校生だよな、エミリアだっけ?』
日本語ができなかった私は自分の名前しか聞き取れなかった。
(*゚ー゚)『、、って、何言ってるかわかんねえか』
私は目を合わせられなくてチラっとだけ彼を見た。
(´・v・`)『(あ、確かこの子、同じクラスの子だ・・・)』
私はうつむいたままボソっと小声で返した。
(´・v・`)『Are you in the same class?(同じクラスの人?)』
(*゚ー゚)『あ、あーゆー、なんだって?俺もわかんねえや』
彼は頭を掻きながら笑った。それから私と自分を交互に指差し、
(*゚ー゚)『お前と俺、同じ学校、クラス、クラス、同じ!!』
"クラス"しか聞き取れなかったけど何となく理解できた。
それから次に、彼は小さな子達と自分を交互に指差し、
(*゚ー゚)『あいつら俺の弟、妹、兄弟、ええとファミリー!!』
今度は"ファミリー"が聞き取れた。
(´・v・`)『Oh, your family,brothers and sisters.(あなたの家族、弟と妹達ね)』
(*゚ー゚)『何て言ってるかわかんねえけど通じたかな、へへ』
彼も嬉しそうに笑ってくれた。
(*゚ー゚)『そうそうファミリー、スパイファミリーじゃねえぞ』
(´・v・`)『What? Did you just say 'spy'?(なに?スパイ?)』
(*゚ー゚)『ああ、わりい、今の無し、ジョーダン、ジョークジョーク』
(´・v・`)("ジョーク?" I'm kidding って事?)私はクスっと笑った。
(´・v・`)『(この人、私の目を気味悪がらない、のかな?)』
彼は一生懸命に私とコミュニケーションしようとしてくれて、
私も自然とそうしようとしていた。嬉しかった。でも、
(´・v・`)『(でもうやっぱり、この人もどうせそのうち私の事・・・)』
そんな気持ちが不意によぎって私はまたうつむいた。
すると彼は"ひるむ"事無く私の隣に座ってこう言った。
(*゚ー゚)『お前のその、め、目さ・・・』
(´・v・`)『(??・・・・??)』
(*゚ー゚)『あ~、ダメだ、絶対伝わんね。目って英語でなんてんだ?』
(´・v・`)『(??・・・・??)』
(*゚ー゚)『ちょっと待ってて』
彼は両掌を斜め下に向けて縦に軽く振るジェスチャーをした。
(´・v・`)『(待ってろ、って事?)』
すると彼は兄弟達が遊んでるダンボール箱と黒ペンを持ってきた。
(*゚ー゚)『これダンボール箱、わかる?』
(´・v・`)『Cardboard box, right?(ダンボール箱でしょ?)』
(*゚ー゚)『か、かーぼーぼー?何それ、まあいいや』
すると彼は箱の蓋に黒ペンで絵を描き始めた。
(´・v・`)『(ピンと立った耳、左右にひげ、動物?猫かしら?)』
(´・v・`)『Cat?(猫?)』
(*゚ー゚)『そうそう!キャットキャット!イエース!!』
(´・v・`)『Is this cat your family too?(この猫もあなたの家族?)』
(*゚ー゚)『ファミリー?イエース!この猫もファミリー!』
(´・v・`)(なんで自分んちの猫の絵なんて描いたのかしら?)
(*゚ー゚)『あ~、黒いペンしかねえな、どうすっか?あ、そうだ!』
彼が何か閃いたっぽい感じだった。
すると彼は絵の猫の右目と青空を交互に指さしてこう言った。
(*゚ー゚)『目の色と空の色、同じ、青、あお!』
(´・v・`)『Blue eyes?(青い目?)』
(*゚ー゚)『イエース、ブルー!青!ブルーね、ぶるー!』
(´・v・`)『So cute, blue-eyed cat(かわいいね、青い目の猫)』
すると今度は猫の左目とこげ茶色の木の葉を交互に指さした。
(*゚ー゚)『こっちの目、これと同じ色、こげ茶、コゲチャ!』
(´・v・`)『Is left eye dark brown?(左目はこげ茶なの?)』
伝わったかどうかはわからなかったけど、
彼は自信ありげにウンウンと頷いていた。きっと伝わったんだ。
(´・v・`)『(猫はオッドアイって事を伝えたかったのね。でもどうして?)』
すると次に彼は猫の目と、私の目を交互に、少し遠慮がちに指さした。
(*゚ー゚)『うちの猫とお前の目、同じ』
間違えなくそう言ってると理解できた。彼は続けた。
(*゚ー゚)『俺、この目が好きなんだ。珍しいし、可愛いし、綺麗だし』
そう言うと少し間を置いてから私の目を見てこう言ったの。
(*゚ー゚)『だからお前の目も、キレイで好きだ』
(´-`).。oO
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(´o`*)『その日から他のクラスメイトとも仲良くなれたと』
( ´v `)『ウン♪』
(´o`*)『残りの滞在期間の3週間が本当に楽しかったと』
( ´v `)『ウンウン♪』
(´o`*)『それ以降に訪れた国で世界中にお友達が沢山できたと』
( ´v `)『ウンウンウン♪』
(´o`*)『その時の絵を切って貰って今も大事にお守りにしてると』
( ´v `)『ウンウンウンウン♪』
(´o`*)『その日から一日としてその人を忘れた日はないと』
( ´v `)『ウンウンウンウンウン♪』
(´o`*)『本当に好きなのね、その人の事』
( ´v `)『・・・・・・、ウン』
(´o`*)『あんた話すのめんど~とか言って結局ノリノリね』
( ´v `)『でへへ~なんだかんだでね~』
(´o`*)『ところで一つ聞いていい?』
( ´v `)『なに?』
(´o`*)『日本の子供ってダンボールで遊べるの?』
( ´v `)『私もそこはちょっと不思議だったんだよ』
(´o`*)『オーストラリアってダンボールめっちゃ高いじゃん』
( ´v `)『買うと高いからダメになるまでバンバン使いまわすもんね』
(´o`*)『砂場で子供のおもちゃとか落書きとかんあまり無いもんね』
( ´v `)『うん、だから日本がダンボール流通してる国で良かったよ』
(´o`*)『そうだね、そうじゃなかったら今のあんた無かったかもね』
( ´v `)『だね・・・』
(´o`*)『もう一個いい?猫の絵をその人がちぎってくれたの?』
( ´v `)『私が欲しいって頼んだの』
(´o`*)『どうやって?』
( ´v `)『猫の周りに指で円を書いて2本指でチョキチョキのマネした』
(´o`*)『なるほど~』
( ´v `)『ちゃんと通じて良かったよ』
(´o`*)『ごめん・・・もう一個だけ聞いてもいい?』
( ´v `)『なに?』
(´o`*)『もしもよ、もしもその人に、か、彼女とか居たら?』
( ´v `)『・・・・それでもいいの、それはしょうがないよ』
(´o`*)『でも・・・』
( ´v `)『今の私は君のおかげだよって、それをちゃんと伝えたい』
(´o`*)『・・・本気なのね、好きも、覚悟も』
( ´v `)『うん、今の私に迷いはないよ』
(´o`*)『出発前にあんたの決意を聞けて良かったわ』
( ´v `)『明日、本当に空港まで見送りに来てくれるの?』
(´o`*)『あんたの親友だもん。ちゃんと送り出してあげる』
( ´v `)『ありがとう。じゃあ明日、空港で』
(´o`*)『うん、じゃあ明日。・・・そうだ、ねえ!!』
( ´v `)『ん?なに?』
(´o`*)『私だって大好きなんだよ。あんたのオッドアイ』
( ´v `)『・・・ウン♪・・・』
FIN
(日本に来たエミリアは・・・!?それは編集後記で↓↓)
(´o`)п(´o`*)п(´o`*)п
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【編集後記】
( ´v `)『久しぶりだね、雷太(らいた)くん』
(`・д・´)『お前、エミリアか・・・なんでここに!?』
( ´v `)『君に会いに来たんだよ』
(`・д・´)『俺に?それと日本語・・・』
( ´v `)『勉強したんだよ。君と沢山お話ししたくて』
(`・д・´)『そっか、偶然だな・・・』
( ´v `)『偶然?』
(`・д・´)『俺も英語勉強した、オーストラリアに行こうと、けど』
( ´v `)『けど?』
(`・д・´)『けどもういいや、用事済んだ、かも』
( ´v `)『済んじゃったの?どんな用事だったの?』
(`・д・´)『お前と、エミリアと同じ、かもしんない』
( ´v `)『そっか・・・じゃあ、答え合わせしよっか』
(`・д・´)『答え合わせ?いいね、やるか』
( ´v `)『ねえ、答え、同じかな』
(`・д・´)『お前は、どう思うんだ?』
( ´v `)『わかんない、けど、同じだったらお願いがある』
(`・д・´)『お願い、なんだ?』
( ´v `)『またあの公園の砂場で、ダンボールで一緒に遊ぼう』
(`・д・´)『そうか、偶然だな。俺も同じ事考えてた』
最後までお読み下さりありがとうございました。
m(__;)m
ライティング兼編集長:メリーゴーランド