ロゴ入りダンボールは恋のサイン■アースダンボールメルマガVOL147■2022年11月号-2

なぜか女子達の妙な視線を感じる・・・。 俺なんかやっちまったか?身に覚えがない。 すると後ろの友達がとんでもない事を口にした! 『昴(すばる)、お前、ヒヨリに告白したんだって?』 『な、なんでお前がそれを!?』 『俺も今朝聞いた。噂になってんぞ~』 この妙な視線の理由はそれか・・・ (´o`)п(´o`)п(´o`)п **************************** 俺は昴、中学2年生。絶賛京都に修学旅行中、二日目の朝。 今日の最初の拝観場所で全員で整列しているところだ。 どうやら昨夜、女子部屋で"恋バナ暴露大会"が開催されたらしい。 ヒヨリがそこで俺からの告白を話しちまったってことか。 ったく、修学旅行マジックだか何だか知らねえが、 女子達のリミッターの外れ方がえげつねえんだよ! だが、あのヒヨリが自分から暴露するとは思えない。 間違いなくイカサマか何かで周りに言わされたに違いない。 ________ 俺がヒヨリに告白したのは今から2ヶ月前だった。 ヒヨリは俺の人間関係史上最大の恥ずかしがり屋だ。 人との会話は聞かれた事だけ答える必要最低限で、 まず自分からは人と話そうとしない、いやできない。 ただそこが可愛いくていじられる要因のマスコット的存在だ。 そんなヒヨリの話だ、K点越えの大ジャンプだったろうよ。 でも、俺の告白ってイマイチ中途半端だったんだよな。 『好きだ』と伝えただけで『付き合ってくれ』とは言ってない。 だから今日まで返事らしきものも無いし別にそれでもよかった。 でもそれってやっぱり只の迷惑行為だったか・・・ フる方もフラれる方もちゃんとハッキリ、の方がいいよな。 いや今はその話はいい。とにかくどうすっか、この状況。 そんなこんなで噂はクラス全員、更に他のクラスにまで及んだ。 その後もそんな事を延々と考えているせいか、 バスの窓から見える景色はさっぱり京都っぽく感じられなかった。 そんな俺の気をよそに今日のスケジュールは淡々と進み、 俺達クラス一行のバスは次の目的地の大きなお土産屋さんに着いた。 そして店の看板を見た俺は、唖然とした・・・!! その店の名前は "お土産処ヒヨリ"・・・ バスの中からその店の看板を見た陽キャのウザ男が 『おお!!ヒヨリだってよ!!ヒヨリ~!』(*´艸`) 全員がドヤッと騒ぎ、それはそれは楽しそうだった。 ヒヨリは耳まで真っ赤にして下を向いたまま耐えていた。 ヒヨリの気も知らんでこいつら・・・( o言o) 仕方ない、それはそれとて何も買わない訳にもいかない。 俺は友人達と "ヒヨリ" 入った。 『沢山買った奴は宅配で送る箱もくれるからな~』 先生がみんなにアナウンスしていた。 沢山買った俺は店の専用ダンボール箱を貰った。それを見た友達が 『昴くん、大事そうに箱なんか抱きしめちゃって~』(´ε` ) と友達が茶化してきた。 『うるせえ!抱きしめてねえ、持ってるだけだ』(○`ε´○) 俺はそう言い返したが、実は相当意識していた。 この箱なんで"お土産処ヒヨリ"のロゴがでかでかと印刷されてんだ( o言o) 『昴、あそこのベンチで箱詰めしようぜ』~(´ε` ) 『いや、別にここでいいよ』(´Д`) 『いいから来いよ、ほらほら』~(´ε` ) 俺は店の外にあるベンチに強制連行された。すると、 『俺トイレ、昴、お前ここで待っとけ』~(´ε` ) と言って俺一人を残してみんな行ってしまった。 こいつら明らかになんか様子が変だ・・・( o言o) モヤモヤしながら一人で待っている時だった。 ヒヨリが居る女子グループが俺のベンチ前を通りかかった。 先頭を歩く女子が俺の方をチラっと見たと思いきや、 『あ~私買い忘れした~ちょっと行ってくる~』( ゚ 3゚)~ と言うと『私も~』『私も~』と全員が棒読み声をあげ、 『ヒヨリはここで待ってて~』とヒヨリを残して行ってしまった。 ヒヨリは呆然としながらベンチ前で一人立ちすくんでいた。。。 なんなんだこのアングラ芝居は、ああ~・・・ どいつもこいつもこれが狙いか!!( o言o) 俺は仕方なくヒヨリに声をかけた。 『ヒ、ヒヨリ、ええと、ここ、座るか』(⌒_⌒;) 『う、、、うん』(〃∇〃) ヒヨリは小さな声で頷くとちょこんとベンチに腰掛けた。 (´o`)п(´o`)п(´o`)п **************************** しばらく無言の時間が流れた。 ヒヨリは耳まで真っ赤になって下を向いたままだ。 98-2 (き、、、気まずい、何か話さなきゃ・・・) 『ヒ、ヒヨリ、なんかお前も大変そう、だな』(⌒_⌒;) 『え?・・・えと、何が?』(〃∇〃) 『何がって、その、あれだよ・・・』(⌒_⌒;) 『べ、別に、大変じゃないよ』(〃∇〃) 『そ、そか、あはは、ならよかった』(⌒_⌒;) 『昴くんは、何か大変なの?』(〃∇〃) 『いや別に、あいつらどっか行っちまってさ』(⌒_⌒;) 『私もそう、ここで待っててって、言われただけ』(〃∇〃) 『そか、おおおお互い、待ってなきゃだな』(⌒_⌒;) 『うん・・・』(〃∇〃) そして二人はまた黙りこくった。 今度のは少し長かった。3分か、5分くらいか。 あいつら絶対ただじゃおかねえ。隠れて見てるのもわかってんぞ! いや、それより今はヒヨリだ・・・ 恥ずかしさで爆発寸前に違いねえ、何とかしてやんねえと。 すると突然、ヒヨリの方から口を開いた。 『す、昴くん・・・』(〃∇〃) 『え!?なに?(ヒヨリからしゃべった!!(゚Д゚))』(⌒_⌒;) 『その箱・・・』(〃∇〃) 『は、箱?ああこれか?この箱が、なに?』(⌒_⌒;) 『うわ、私の名前、書いてある、みたい』(〃∇〃) 『ああ、そうだな、書いてあるな、うん、』(⌒_⌒;) 『だからなんか、ハズい』(〃∇〃) 『恥ずかしい? ああ、だよな、同じ名前だもんな』(⌒_⌒;) 『そう、じゃなくて、』(〃∇〃) 『ええ?じ、じゃあなんで恥ずかしい?』(⌒_⌒;) 『抱きかかえるように、持ってるから』(〃∇〃) 『あ!?あ、ああ、ごめん!』(⌒_⌒;) 俺は箱を膝の上からベンチの上に置き直した。 『べ、別にいい。恥ずかしいだけだから』(〃∇〃) そう言うとヒヨリはチラッと俺の目を見た。 (なに?今の視線・・・) 『昴くん、ちょっとここで待ってて』(〃∇〃) 『え!?お前も行くの?じゃあ荷物見とくよ』(⌒_⌒;) 『うん、お願い』(〃∇〃) そう言うとヒヨリはスタスタと店の中へ行ってしまった。 遂に恥ずかしさが限界か、まあしゃあねえな・・・ しかしヒヨリは予想外に早く戻ってきた。 『お待たせ、昴くん』(〃∇〃) 『お、お帰り、買い物か?』(⌒_⌒;) 『うん、買ってきた』(〃∇〃) 『何を買ったんだ?』(⌒_⌒;) 『昴くん、その箱、家に送るんでしょ?』(〃∇〃) 『ああ、そうだけど』(⌒_⌒;) 『私の名前、書いてあるから、それ私、って事で』(〃∇〃) 『は?どゆこと?』(⌒_⌒;) 『もう、昴くんはにぶちんだな』(〃∇〃) 『いや、本当に何言ってんのか?』(⌒_⌒;) 『だからその箱は"私"なの。で、これを入れて』(〃∇〃) そう言いながら今しがた買ってきた小さな紙袋を箱に入れた。 『え?これ、俺に?』(⌒_⌒;) 『うん。でも帰ってから開けてね。恥ずかしいから』(〃∇〃) 『あ~、うん、わかった』(⌒_⌒;) 『あ、なんかヒヨリにしては珍しい、とか思ってる?』(〃∇〃) 『まあ、正直なところ・・・』(⌒_⌒;) 『ふふ、私だってやる時はやるんだよ』(〃∇〃) 『益々どういうことか・・・?』(⌒_⌒;) 『にぶちんの昴くんでもわかるようにしたんだよ』(〃∇〃) ヒヨリの今まで見たこともない只ならぬ迫力に押され、 俺は黙ってそのまま封をして家に送る手配をした。 にしてもあいつら、一部始終見てやがったな・・・ どうせ今夜は暴露大会パート2でヒヨリをいじり倒すつもりだろ。 翌朝、また女子達の視線。ただ昨日とはちょっと違う視線だ。 何となくみんなの視線が柔らかい、態度も柔らかい。 ヒヨリ、昨夜は一体何を話したんだ? その後は何も起こらず無事に修学旅行を終えた。 (´o`)п(´o`)п(´o`)п **************************** 帰宅するとあのダンボール箱はもう届いていた。 俺は箱を部屋に持って行き、開封した。 『ヒヨリがくれたのはこれか。なにこれ、キーホルダー?』 京都の土産屋ってこういうの売ってんのか。 いやそこじゃなくて、これはどういうことだ・・・? 俺はあの時のヒヨリのセリフを思い出した。 『この箱は私の名前が書いてあるから私って事で』(〃∇〃) (-ω-`)フッ ヒヨリ・・・ 一生分くらいの勇気、出したんだろうな。 俺もちゃんと言わなきゃな。付き合ってくれって。 俺は箱に印刷されたロゴを指先で軽くさすってみた。 この箱にこのロゴが無けりゃあの流れは無かったかもな。 ありがとな、箱。 それからまあ一応、あの状況を企てたあいつらにも、 後で礼でも言っとくか。 98-2 FIN (´o`)п(´o`)п(´o`)п ****************************     【編集後記】 恥ずかしがり屋の女の子。 あなたの周りにもいらっしゃいませんか? そんな女の子が勇気を振り絞る瞬間って、 応援したくなりませんか? これは只の思い込みかもしれません。 そして只の妄想かもしれませんが、 もしダンボール箱がそんな女の子の背中を押せたら・・・ 私達が作った箱がそんな役を担えたらマジで嬉しいです。 そして今、自分が初めてした告白を思い出して、 少しほっこりしてくれる人が居てくれたら、 それも嬉しく思います。 辛い思い出だった方は、なんていうか、ごめんなさい。 最後までお読み下さりありがとうございました。 m(__;)m ライティング兼編集長:メリーゴーランド

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