寂しがり屋のダンボール戦線 -前編-■アースダンボールメルマガVOL160■2023年6月号
なんでこんな事になっちまったんだ!!
せっかくSNSで初めてバズッたと思ったのに、
こんな社会をゆるがすような事態に発展しちまうなんて・・・
俺の投稿、それは我が家の中に作られたダンボールバリケードと
"家庭内家出"の一言だった。
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俺は小学生の一人息子を持つどこにでもいる普通の父親。
先日、ある事で息子を叱り、それが何故かケンカに発展し、
息子は『家出してやる!!』という一言と共に家を飛び出した。
でも数時間後には家に帰ってきた、はいいのだが、
何故か大量のダンボールをどこかから持って帰って来た・・・
そして事もあろうか家の一角にダンボールバリケードを築き、
そこに立て籠もった!!
"そこで籠城する気か!それ家出か!家出てねえじゃん!"
と心の中で突っ込んだものの、とりあえず家に居るという安心感もあり、
何となくその状況が可愛く見えてしまいスマホで動画撮影して、
"息子が家庭内家出ちゅう" と投稿、してしまった。
なんとそれがバズり、100万回再生を突破、してしまった。
と、ここまでは良かった・・・
なんと、その投稿を見た親に不満のある子供達が真似をし出し、
更に、親に不満は無いけどなんだか楽しそう、という模倣犯も増殖し、
あっという間に日本全国に "家庭内家出" 現象が広がってしまい、
実に全児童の約10%、数十万件の家にダンボールバリケードが
築かれてしまった。
しかも極少数だが中学生、高校生、何故か大学生や社会人にまで、
その魔の現象は広がり始めていた。
マスコミもここぞとばかり報道合戦を繰り広げ、聴取率を稼いでいた。
ネット上ではこの現象を応援する声もある反面、批判の声も高まった。
家出と言っても結局は家の中。一定時間バリケードの中に居るだけで、
ご飯も有るしトイレも風呂も使える。朝になったら学校へも行く。
ダンボールを隔てて親と断絶したつもりになってる只のわがまま行為。
という批判の声に対し実行勢力は、
実際の家出こそ本当の迷惑行為じゃないか。そこまで親に迷惑はかけない。
これは最低限の迷惑にして最大の抵抗の方法なんだ!!
という訳の分からない反論と論争を繰り広げ、事態は空中分解状態となった。
ここまでの社会現象になるまでほんの数日。本当にあっという間だった。
事態を(少しだけ)重く見た政府は家庭内家出対策員会の発足を指示。
しかし実害が出ていないという理由で具体的な対策をとれずにいたが、
実際はどの省庁が中心で対策をこうじるかという話し合いが進まず、
責任のなすりつけ合いと、何とも手の出しようが無い状態への傍観に、
多くの時間が割かれてしまっていた。
確かに親から見れば、子が自分達に不満があるという若干のうしろめたさや、
とりえず家の中に居るからまあいいかという危機感欠如に加え、
単にケンカしてる家族が家の中で口も利いてくれないだけの状態だろ、
という、これって日常の延長じゃん、という論理へのすり替え、
だからと言って強硬手段を取れば事態が更に悪化するのではという恐れや、
行動は世の親達と足並みをそろえた方がいいのでは?という集団心理、
果ては、国が何とかしてくれんだろ、という完全な他力本願的思考、
等々が大部分を占め、事態の出口は見えなかった。ただ、
"このバリケードすげえ邪魔!!" という声にだけは多くの共感が集まった。
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困り果てた政府や家庭内家出対策委員会は、ある人物に協力を要請した。
その人物とは、ダンボール物理学の世界的権威、ボール・ダン博士。
(このメルマガでも何度も登場している人気キャラクター)。
ダンボールにおけるあらゆる現象を科学的に解明してきた博士なら、
この状況を打開できるのではないかと踏んでの事だった。
"結局は民間に丸投げ"とマスコミでは政府への批判が続いていたが、
政府にとってはまさに神様、仏様、ボール・ダン博士様、状態だった。
そして家庭内家出対策委員会での最初の招致で博士はこう言った。
『間もなくこの現象は自然的に沈静化する。しかも副産物付きでね』
誰もが博士の発言の意図が理解できなかった。
この現象は自然的に沈静化するだって!?
そして博士の発言から二日後の事だった・・・
博士の予言通り、子供達がバリケードから出て日常生活に戻り始めたのだ。
多少の時間差はあるものの拡大時とほぼ同スピードで沈静化に向かった。
そして博士の二つ目の予言、"副産物"についても現実となった。
その副産物とは・・・それは誰もが想像だにしなかった現象だった!!
一体何が起こったというのか!?
To Be Continued ~次号へ続く~
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【編集後記】
子供の頃、ギリギリで記憶が残ってるくらい本当に小さい頃、
近所の友達と一緒に、ある家の屋根裏に隠れて遊んでいました。
何時間も姿を見せない為に、いつしか大人達は総出で僕達を探し回り、
その姿を屋根裏から見て楽しんでいました。最悪な行いです。
そして見つかった時、すっごくすっごくこってり叱られました。
もう全員がわんわん泣きだすくらい叱られました。当たり前です。
その時の記憶はいつまで経っても鮮明に覚えていて、今でも時々思い出します。
そして今、今作を執筆しながら、やっぱり思い出しています。
おやじ、お袋、ご近所の方々、あの時は本当にごめんなさい。
さて次号は、博士の言う "副産物" の正体が明らかに!?
今号も最後までお読み下さりありがとうございました。
m(__;)m
ライティング兼編集長:メリーゴーランド