エージェント・ダンボール -後編-■アースダンボールメルマガVOL179■2024年3月号-2

パーン!!パーン!!突然2発の銃声が鳴り響いた! 「大統領!!伏せて!!」俺は咄嗟にそう叫び、 持っていたダンボールを地面に伏せた大統領にあてがい、 そのまま自分も大統領の上に覆いかぶさった! すぐさま他の数人のエージェントも大統領に覆いかぶさった。 すると3発目の銃声が鳴り響き、仲間のエージェントが叫んだ。 「アッシュ!お前、肩を撃たれてるぞ!」 「俺は大丈夫だ、貫通したようだ、、、  それより貫通した弾はどこだ!?大統領は無事か!!?」 (´o`)п(´o`*)п(´o`*)п **************************** ~前回までのあらすじ~ 俺はアッシュ・ブライアン。シークレットサービス大統領警護班の一員。 あるイベント会場で大統領演説終了後に突然2発の銃声が鳴った!! 「大統領!!伏せて!!」俺は咄嗟にそう叫び、 持っていたダンボール板(大統領応援用のサインボード)ごと大統領に覆いかぶり、 同時に数人のエージェントも大統領に覆いかぶさった。 極限状態に包まれた中で聞こえた3発目の銃声、その弾が俺の肩を貫通した。 しかし不思議な事に・・・ この極限状態の中で突然、俺の20年前の記憶がフラッシュバックし、 俺はその記憶の中である人を思い出していた。その人は・・・ 俺が小学校の頃にダンボールで作った大型モニュメントが州で表彰され、 その記念展示会に来賓として来場していた州議会議員の一人。 その人、ロバートさんは俺の作品を称賛してくれ、色んな話を聞かせてくれ、 初めて会った子供の俺の心をすごくワクワクさせてくれた。 そしてあの時も、今日みたいに突然、 "バーン!!!" と銃声が会場内に鳴り響いたんだ・・・ 前号までの全文はこちらです↓↓ https://www.bestcarton.com/profile/magazin/2024-mar.html _________ 「全員手を挙げろ、動くな!!」という男の叫び声がした。 銀行強盗に失敗した逃走中の犯人が突然この会場に乱入した。 バーン!!! 男はもう一発、今度は俺のダンボールモニュメントに向けて発砲した。 命中したモニュメントの一部が砕け散り、俺と議員の目の前に"バサっ"と落ちて来た。 その瞬間、議員はダンボールパーツの1枚を即座に手に取り、 床に伏せた僕にそれをあてがい、更に議員は僕に覆いかぶさった!! 議員さん、僕を守って・・・くれてる!? そう思った瞬間、俺は何故か安堵した。こんな状況なのに。 男はかなり興奮していて明らかに我を失っていた。 一人の女性が恐怖のあまり悲鳴を上げると 「うるせえ!静かにしろ!!」 と叫んで更に一発、今度は天井に向かって発砲した。 その弾丸が跳弾(ちょうだん:弾が壁などに当たって跳ね返る現象)となり、 誰かに命中した!! 「うぐああああ!!」 議員の叫び声が俺の真上から聞こえた。 議員の苦痛の声で犯人は我に返り、脱力して床に膝をつき、銃を手から落とし、 そのすきに周りの大人達が犯人を取り押さえた。 その間もずっと議員は俺に覆いかぶさり続けてくれていた。 「議員、ロバート議員!しっかり、すぐ救急車が来ますからね!!」 「議員さん!議員さん!!ロバートさん!!ねえしっかりして!!」 俺は叫んだ。 「だ、大丈夫だ。足にあたっただけだ。アッシュ、君は大丈夫か?」 ロバート議員は苦痛に歪む顔を無理やり笑顔にしてそう言った。 「ロバートさん、僕は大丈夫、でも僕のせいでロバートさんが!!」 「アッシュ、君のせいじゃない」 「僕のせいだよ、ロバートさんが僕の身代わりに!!」 「アッシュ、大人が子供を守るのは当たり前だ。  君が無事で本当に良かった。それが一番大切な事だ」 そう言うとロバートさんは気を失い、病院へと運ばれた。 (´o`)п(´o`*)п(´o`*)п **************************** あの時、ロバートさんが砕け散ったダンボールの破片を僕に被せたのは、 自分の身を挺してもなお、たとえ布切れ1枚でも、例え紙きれ1枚でも、 俺に銃弾が届く確率を、0.何%でも、0.00何%でも下げようと、 自分は死んでも絶対に俺を守ろうとしてくれたからですよね。 俺は、あの時に決めたんです。 ロバートさんが俺を命がけで守ってくれたあの時、自分の将来を。 ロバートさんのような人を、ロバートさんのような人達を守る仕事がしたいと。 だからあれから、懸命に勉強して、鍛えて、難関試験を突破して、 シークレットサービスに入って実績を積んで、大統領警護に加わった。 だからロバート大統領、今度は俺が貴方を守ります!! あの時、貴方が俺を守ってくれたように!! 俺のフラッシュバックが解けた。 「アッシュ!お前、肩を撃たれてるぞ!」 「俺は大丈夫だ、貫通したようだ、、、  それより貫通した弾はどこだ!?大統領は無事か!!?」 「大丈夫、大丈夫だ、私は撃たれてない!!」 大統領は伏せたままで俺達にそう叫んでくれた。 その後、イベントスタッフに紛れてセットの鉄骨に登り、 高所から大統領を狙った犯人が手に持った銃を、 周辺ビルに待機していた狙撃手が撃ち抜き、銃を離した犯人を取り押さえた。 幸いな事に聴衆にもケガ人は居なかった。 そして安全を確認し、覆いかぶさっていた俺達は大統領から"はがれた"。 「アッシュ、肩は大丈夫か」 「ああ、大丈夫だ、かすり傷だ、たぶん」 「バカ言え!すぐ病院に行こう。だがその前に、これ見ろよ」 仲間のエージェントがあの時大統領に被せたダンボールを指さした。 「ああ、そうだったのか・・・ははは」 弾はダンボールにめり込み、その時点で全ての運動エネルギーを消失していた。 「アッシュ、お前の肩を貫通して弾の威力は急激に弱まったようだが、  このダンボールが無かったら弾が大統領に届いていたかもな」 俺はまた、あの時のロバート議員の言葉を思い出していた。 (君が無事で本当に良かった。それが一番大切な事だ・・・) 「ああ、良かった、大統領が無事で、本当に」 俺はそのまま救急車で病院に運ばれた。 _________ その後、病院で治療を受けてわかった事がある。 着弾は防弾チョッキの外側だったが、それは運が悪かった。 防弾チョッキで弾が止まるほうが大統領が安全だからだ。 そして弾は奇跡的に俺の肩の骨も動脈も神経節も逸(そ)れながら貫通した。 だから俺の体へのダメージは最小限で済んだが、 やはり弾が俺の体に留まる方が大統領はより安全だったと言える。 大統領は無事で、俺の体のダメージも最小限だったのはやはり奇跡だ。 そして俺は仕事に復帰することができた。 「なあアッシュ、あの時なぜダンボールを手にしてたんだ?  確か、ステージ袖の壁にたまたま立てかけてあったダンボールサインを  念の為に安全確認して不審物じゃなかったからそのまま手に持ったんだよな」 「さあな、俺にもわからん。しいて言えばカンだ。"これは使える" ってな。  でもそれだけじゃないんだ。お前、あのダンボール触ってみたか?」 「触ってはみたが特に変わった点は感じなかったな」 「そうか、まあそうかもな。  あれは只のダンボールじゃないんだ。強化ダンボールってやつなんだよ」 「強化?」 「ああ、その名の通り、普通のダンボールよりもバッキバキに強いんだ。  とはいえダンボールだ。強化と言っても銃弾を止める程強くはない。  でも奇跡が起こる確率をほんの少しだけ上げる事は出来たみたいだ」 「なるほどな、でもそれが強化だとよくわかったな」   「ガキの頃から好きだったんだよ、ダンボール。強化版なんて特にな。  それにどういう訳か、俺は昔からダンボールはラッキーアイテムなんだよ」 「よもやダンボールがねえ…奇跡としか言いようがないな。  でもこの国の大統領を救ったのは世界を救ったみたいなもんだからな」 「ああ、奇跡だよ、本当に」 「でもその奇跡、お前が引き寄せたとも言えるな。  よし!お前に新しいコードネーム、俺がつけてやるよ!」 「ああ!?なんてネームだよ」 「エージェント・ダンボール」 「…だっさ…」(*´Д`)=3 FIN 98-2 (´o`)п(´o`*)п(´o`*)п ****************************     【編集後記】 九死に一生を得る、と言えば大げさかもしれませんが、 ダンボールが生き物の命をつなぐ、守るという事はあるのだと思います。 アッシュが大統領を守ったような事が物理的に起こり得るのかどうかは わかりません。ただこれだけは言えます。 ダンボールを何かに本気で使う人には、 ダンボールはきっと答えてくれる物です。 時には奇跡のように。 今号も最後までお読み下さりありがとうございました。 m(__;)m ライティング兼編集長:メリーゴーランド

次のメルマガへ:2024年4月号 "三つ"が愛しい私の事情(ワケ)■アースダンボールメルマガVOL180■
前のメルマガへ:2024年3月号 エージェント・ダンボール -前編-■アースダンボールメルマガVOL178■

バックナンバー一覧に戻る

ダンボール専門店最大4000種類超え・ご注文累計100万件以上 創業71年 工場直営なので最短当日お引き取りも可能 ダンボール2.0

  1. ダンボール通販・購入 トップ
  2. 箱職人のメールマガジン
  3. 2024年3月号-2 エージェント・ダンボール -後編-■アースダンボールメルマガVOL179■