エージェント・ダンボール -前編-■アースダンボールメルマガVOL178■2024年3月号

パーン!!パーン!!突然2発の銃声が鳴り響いた! 「大統領!!伏せて!!」俺は咄嗟にそう叫び、 持っていたダンボールを地面に伏せた大統領にあてがい、 そのまま自分も大統領の上に覆いかぶさった! すぐさま他の数人のエージェントも大統領に覆いかぶさった。 すると3発目の銃声が鳴り響き、仲間のエージェントが叫んだ。 「アッシュ!お前、肩を撃たれてるぞ!」 「俺は大丈夫だ、貫通したようだ、、、  それより貫通した弾はどこだ!?大統領は無事か!!?」 (´o`)п(´o`*)п(´o`*)п **************************** 俺はアッシュ・ブライアン、29歳、 この国のシークレットサービス、大統領警護班の一員だ。 今日は大統領推進の政策に賛同する団体の大きなイベントがある日だ。 何日も前から会場や周辺のチェックを行い、警護計画を綿密に練った。 会場は屋外、周りにはビル、会場内にも高所のイベントセットが多い。 聴衆との距離も近い。少しやっかいだな。特に高所が・・・ そして当日、大統領がスピーチを終え会場の盛り上がりは最高潮に。 大聴衆に手を振りながらステージ袖に向かって歩く大統領。 一瞬たりとも気が抜けない! すると大統領の数メートル先の壁に立てかけられた物が俺の目が留まった。 何だあれは・・・板状のダンボール・・・か? 俺は仲間に"あの物体をチェックしてくる"のサインを送り、確認した。 それは大統領応援メッセージが書かれた十数枚のダンボールサインだった。 俺は注意深くそれらを1枚1枚めくりながら全体をチェックした。 よし、只のダンボールサインだ、異常無し。 だがほんの少し気になり、俺はもう一度そのダンボールを強く触ってみた。 すると…こ、このダンボールは!! なるほど、これはいい、使えるかもしれないぞ。 そう思った俺は近くのスタッフに頼み、このダンボールサインを3枚ほど貰った。 その間も仲間が一瞬の隙もなく大統領をガードしていた。 俺は仲間に "異常なし" のサインを送って再び大統領の列に加わった。 するとそれに気が付いた大統領が俺に声をかけて来た。 「アッシュくん、それは?」 「ああ、これですか、見ますか?」 俺は歩きながら大統領にダンボールサインを見せた。 「おお、これは嬉しいな」 「そうですね、後でこれと記念写真でも撮りましょうか」 「そうだな、そうしよう」 大統領は笑ってそう言ってくれた。だが次の瞬間・・・ パーン!!パーン!!突然2発の銃声が鳴り響いた! 「大統領!!伏せて!!」俺は咄嗟にそう叫び、 持っていたダンボールを地面に伏せた大統領にあてがい、 そのまま自分も大統領の上に覆いかぶさった! そしてすぐさま他の数人のエージェントも大統領に覆いかぶさった。 すると3発目の銃声が鳴り響き、仲間のエージェントが叫んだ。 「アッシュ!お前、肩を撃たれてるぞ!」 「俺は大丈夫だ、貫通したようだ、、、  それより貫通した弾はどこだ!?大統領は無事か!!?」 辺りは一瞬で極限状態になった。 「大丈夫、私は大丈夫だ!!」 大統領の声が聞こえた。 良かった、大統領は無事だ!このまま大統領を守り切る!! こんな状況の中、何故か俺は冷静だった。 いや、エージェントが冷静なのは当たり前だ。 ただ、何だろう、この感じ。どこか不思議な感じだ。 周りは極限の緊張に包まれたまま、無数の叫び声が飛び交っている。 でも俺には周りや人の動きが良く見えるし、とにかく落ち着いているんだ。 そうだ、そう言えばあの時もこんな感じだったな・・・ 普通ならチビりそうなくらいの恐怖なのに、 あの時、俺は一瞬で安堵に包まれたんだ。 そう、あの時・・・ 全ての動きがまるでスローモーションのように感じる中で、 俺は不意に起こったフラッシュバックの中にゆっくりと入り込んだ。 (´o`)п(´o`*)п(´o`*)п **************************** あれは今から20年程前、俺が elementary school(小学校)の頃だ。 俺が作ったオールダンボール製の高さ2メートルのモニュメント作品が州から表彰され 同じ品評会で表彰を受けた作品が州の各地から集められた記念展示会での事だった。 沢山の来場者が訪れ、その中には州議会の議員も数名訪れていた。 俺の作品の前に立っていると、一人の議員が声をかけてくれた。 「この作品は君が作ったのかい?」 「はい!」 「そうか、君の名前は?」 「アッシュ、アッシュブライアンです」 「アッシュ、君の作品は本当に素晴らしい!」 そう言って、作品の事や僕自身の事を、僕に沢山質問してくれた。 「アッシュ、将来は何になりたいんだい?」 「まだ、決めていません・・・」 「そうか、ゆっくり考えるといい。  そして何を目指すにしても、この作品を誇りに思うんだ。  君は絶対に、沢山の人に感動や、勇気や、癒しを与えられるよ」 「本当に?本当にそう思いますか?」 「ああ本当だ。それに君が思えば、誰かを守る事だってできるさ」 「誰かを守れる?」 「そう、君の大切な誰かをさ。君とこのダンボールモニュメントを見てるとね、  君は大きな事をやり遂げると確信できる、そんな風に思えるんだよ」 初めて会った誰かにこんな事を言われたのは初めてだった。 嬉しくて嬉しくて、子供心に胸がとても熱くなった。 ・・・なのに・・・突然 !!バーン!! 一発の銃声が響き、和やかな雰囲気が一瞬で恐怖と緊張に包まれた。 「全員手を挙げろ、動くな!!」という男の叫び声がした。 ~次号へ続く~ To Be Continued 98-2 (´o`)п(´o`*)п(´o`*)п ****************************     【編集後記】 これを読んでいるほとんどの方が大人だと思いますが、 貴方は子供と話をする時、どんな風に話しますか? 特に意識せず普通に、意識して熱心に、無意識に下に見てしまう、 色々あると思います。 一期一会と言いますが、たとえ一時でも、数秒だけの出会いでも、 それが運命の出合いと即座に認識できる場合は人生で何度かあるか無いかで、 たいていの人は運命の出会いを見過ごしてしまっているのかもしれません。 でも「あれが運命の出会いだった」と後から気づける事も幸せだと思います。 次号では、その「運命の出会い」に立ち会えた気持ちになって頂ければ、 筆者としては嬉しい限りです。 今号も最後までお読み下さりありがとうございました。 m(__;)m ライティング兼編集長:メリーゴーランド

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