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ダンボールの原材料とは?工場での製造法・ライナーとフルートの種類

引越しの荷造りや商品梱包に使用するダンボールを選ぶ際、サイズ・形状で選ぶ方は多いのではないでしょうか。しかし、ダンボールを選ぶ際はサイズ・形状だけでなく、用途を満たせるだけの強度があることも大切です。たとえば重量物を梱包する場合は、梱包中にダンボールが破けないように耐荷重が大きい製品を選ばなくてはなりません。

ダンボールの強度を考える際、切り離せない関係にあるポイントが「ダンボールの原材料」です。今回は、ダンボールの原材料について解説します。ダンボールの上手な選び方も解説するため、自身の用途に合うダンボールを選びたい方は参考にしてください。

 

1.ダンボールの原材料とは

ダンボールの原材料は「ダンボール原紙」と「糊」です。「ダンボール箱」とも呼ばれるダンボールケースは、下記の流れで作られています。

  • (1)「ダンボール原紙」を作る
  • (2)3枚のダンボール原紙を「糊」で貼り合わせて、板状のダンボールシートを作る
  • (3)ダンボールシートに折り曲げ・切り込みなどを行い、ダンボールケースに加工する

ダンボール原紙とは、古紙とパルプ(木材)を原料に作られたダンボール製造用の紙です。使用する古紙は、家庭や企業からリサイクルに出された使用済みダンボールです。この使用済みダンボールは「リサイクル・ダンボール」と呼ばれます。ダンボール原紙の古紙利用率は90%以上を占めており、木材から作られたパルプは10%未満しか使用されていません。

もう一つの「糊」は、コーンスターチで作られた接着剤です。コーンスターチはトウモロコシを加工して得られるデンプンであり、水分を与えて加熱することで糊化させています。

下記は、ダンボールの原材料についてまとめた表です。

紙(ダンボール原紙)
  • 古紙(90%以上)
  • パルプ(残り)
コーンスターチ

出典:全国段ボール工業組合連合会「段ボールは段ボールから生まれる (製紙工程)」

ダンボールの原材料は大部分が古紙であり、環境に優しい包装資材と言えます。

 

2.ダンボールのリサイクル・製造工程

リサイクル・ダンボールはまず古紙回収業者のもとに集められ、プラスチック片・金属片などの異物をチェックしたうえで、粉砕・圧縮して製紙工場へと送られます。リサイクル・ダンボールがどのような方法で新しいダンボールへ生まれ変わるのか、気になる方も多いでしょう。

ここでは、ダンボールのリサイクル・製造工程を、3つの段階に分けて順に紹介します。

 

2-1.ダンボール原紙の製造

製紙工場に送られたリサイクル・ダンボールは、パルパーに入れられます。パルパーは巨大な水槽であり、リサイクル・ダンボールを水でほぐしながら異物を除去して、繊維状にする機械です。

繊維状になった原材料は、リファイナに通されます。リファイナは繊維を叩きほぐす機械であり、繊維に柔軟性を与えて絡みやすくする重要な工程です。

リファイナ後の原材料は抄紙機に通され、下記の工程で紙にすかれます。

  • (1)ワイヤパートで原材料をワイヤ上に広げて紙の層を作る
  • (2)プレスパートで含水率を下げる
  • (3)ドライヤパートで加熱乾燥する
  • (4)カレンダで紙表面を平滑にする(ライナーの場合)
  • (5)リールで巻き取り、巻き取り原紙にする

巻き取り原紙はそのまま使わず、巻き出しながら所定の幅で切り、リワインダで再び巻き直します。以上で、ダンボール原紙の製造は完了です。

 

2-2.ダンボールシートの製造

次に、ダンボール原紙をコルゲータに通して、ダンボールシートを製造します。コルゲータとは、3枚のダンボール原紙を貼り合わせる作業ができる、全長70~100mの大型機械です。表・裏のライナーで中芯を挟む構造はコルゲータで作られます。

まず、シングルフェーサと呼ばれる部分で中芯原紙を波型に成形し、一つの面に糊を付けます。そして裏ライナー原紙と貼り合わせることで、片面ダンボールシートの形が出来上がりです。

次に、中芯の片面に糊を付けて、ダブルフェーサと呼ばれる部分で表ライナー原紙と貼り合わせて糊を乾かします。最後に、スリッタースコアラで罫線を入れて、カットオフで所定の寸法に裁断することで、両面のダンボールシートは製造完了です。

 

2-3.ダンボールケースの製造

ダンボールシートは板紙の形状であるため、そのままではダンボールケースとして使えません。ダンボールケースの製造では、ダンボールシートに印刷・切り込み加工などの製箱工程を行います。

まず、ダンボールシートをプリンタースロッタに通します。プリンタースロッタとは、ダンボールシートに印刷をしたり、罫線・溝切りの加工をしたりできる機械です。

プリンタースロッタで加工後のダンボールシートは、フォルダーグルアでダンボールケースの形状に加工します。フォルダーグルアは、ダンボールシートに糊を付けて罫線に沿って折り曲げる機械です。最後に束ごとに結束することで、ダンボールケースが完成します。

 

3.【原材料・構造】ダンボールの上手な選び方

完成したダンボールは、下記の3つのパーツが順に貼り合わされた構造です。

表ライナー 外装用のダンボール原紙
中芯 波型に加工されたダンボール原紙
裏ライナー 内装用のダンボール原紙

表ライナー・裏ライナーは、ダンボールに傷や穴ができることを防ぎます。また、中芯の波は「フルート」と呼ばれ、ダンボールに厚みを作り、衝撃吸収や重量分散に役立つ部分です。

ダンボールが持つ厚みや強度などの特性は、「ライナーの種類」と「フルートの種類」の2点に依存しています。ここでは、ダンボールを選ぶ際のライナーとフルートの選び方を紹介します。

 

3-1.ライナーの種類

ダンボールの表・裏ライナーは、主にC5~K7までの5種類が使用されています。各ライナーの特徴は下記のとおりです。

ライナーの種類 C5 C6
古紙含有率 90%以上
1平米あたりの重量 160g 200g
主な特徴や用途 古紙含有率が高く、洋服など軽量物の梱包に適している C5より強度が高いものの、現在では需要が減っている
ライナーの種類 K5 K6 K7
古紙含有率 50%以上
1平米あたりの重量 170~180g 210g 280g
主な特徴や用途 C5・C6より古紙含有率が低く、強度が高い 特殊形状のダンボールケース用に適している 輸出用や重量物の梱包に適している

C5やC6のライナーは古紙含有率が高く、一方でK5・K6・K7のライナーは古紙以外にパルプも多く使用していることが特徴です。パルプを使用すると紙の強度が高くなるため、上記表の下側へ向かうほど強度が高いライナーとなります。

ただし、パルプは古紙と比べて高価な素材です。価格面で見た場合は、上記表の下側へ向かうほど価格が高くなってしまいます。

 

3-2.フルートの種類

中芯のフルートは、主に下記の8種類です。

フルートの種類 30cm内における段数(波の数) 厚さ
Aフルート 34±2 5mm
Bフルート 50±2 3mm
Cフルート 40±2 4mm
Eフルート 80以上 1.5mm
Fフルート 120以上 1.1mm
Gフルート 180以上 0.9mm
Yフルート - 2.5mm
Wフルート - 8mm

一般的なダンボールで使用されているフルートは、厚さ5mmのAフルートです。対して、厚さがやや薄いBフルートは内装箱や配送用、Cフルートは発送用・運搬用のダンボールに使用されています。

Eフルート・Fフルート・Gフルートの3つは厚さが薄く、マイクロフルートとも呼ばれる種類です。表ライナーを段数の多い中芯がしっかり支えているため、印刷時にインクの乗りがよく、個装箱・内装箱など外観を重視する用途に使用されています。

Wフルートは8種類の中でも特殊で、AフルートとBフルートを貼り合わせたような構造が特徴的です。厚みがあるため強度も高く、重量物の梱包に適しています。

販売されているダンボールには、必ずライナーとフルートの種類が掲載されています。用途に合ったライナー・フルートの製品を購入することが、ダンボールを選ぶコツです。

 

まとめ

ダンボールの原材料はダンボール原紙と糊であり、ダンボール原紙の原材料は古紙(リサイクル・ダンボール)とパルプです。古紙からダンボール原紙が製造され、ダンボール原紙を貼り合わせてダンボールシートとなり、ダンボールシートを加工してダンボールケースが製造されます。

ダンボールは、3枚のダンボール原紙がそれぞれ表ライナー・中芯・裏ライナーとして貼り合わされた構造です。中芯のフルートやライナーの種類によって、ダンボールとしての強度・厚みが変わります。ダンボールを選ぶ際は、製品に記載されているフルートやライナーの説明を必ずチェックしましょう。

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