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【ダンボールの歴史】ダンボールの発祥から現在に至るまで
強度と利便性に優れているダンボールは、身近な梱包資材としてさまざまな用途に活用されています。日常的にダンボールを使用している方の中には、ダンボールの発祥や歴史について気になったことがある方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、ダンボールの発祥から現在に至るまでの歴史について紹介します。ダンボールがどのように生まれて発展してきたのか、その歴史について知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
1.ダンボールの歴史|起源と発展の歩み
現代社会で当たり前のように使用されているダンボールですが、その起源と発展の歩みを 知っている方はさほど多くありません。
ダンボールの発祥は、包装資材としてではなく、英国紳士が被るシルクハットの通気性を良くするために波型に折った厚紙を使用するというアイデアでした。
ここからは、偶然の産物から生まれた波型の厚紙素材が、いかにして発展を遂げて現代のダンボールに至ったかを解説します。ダンボールの歴史を辿りたい方は、ぜひ以下のストーリーを順番に読み進めてください。
1-1.【1856年】ダンボールの発祥はイギリス
ダンボールの発祥は、1856年のイギリスに遡ります。当時、英国紳士の間ではシルクハットが流行っていましたが、中が蒸れやすいという難点がありました。
この問題を解決すべく、E.C.ヒアリーとE.E.アレンという人物が、波型に折った厚紙をシルクハットの内側に取り付けるアイデアを思い付きます。
波型に折った厚紙は通気性とクッション性を兼ね備えており、見事シルクハット装着時の不快感を解決することに成功を収め、E.C.ヒアリーとE.E.アレンは特許を得ました。英国紳士が抱える悩みを解決するために作られた波形の厚紙が、ダンボールの独特の形状のはじまりとなります。
1-2.【1870年代】アメリカで包装紙などが誕生
1870年代になると、ダンボールが初めて包装材として使われ始めます。
1871年には、A.L.ジョーンズが紙に段を付けた「繰りっ放し」の特許を取得します。波型の厚紙が持つクッション性が注目され、当時使用されていたわらやおがくずに替わる緩衝材として、ガラス製品やランプ製品の輸送に使用されるようになりました。
1874年には、O.ロングが、厚紙の段が伸びないように段の片側にライナを貼り合わせた「片面ダンボール」を開発して特許を得ます。片面ダンボールはより丈夫で優れた包装材として、壊れ物の包装などに積極的に使用され始めました。
1-3.【1880年代】ダンボール箱の原型が完成
1880年代に入ると、現在のダンボール箱の原型とも言える梱包材ができあがります。
1882年には、R.H.トンプソンが両面ダンボールを開発して特許を取得、1894年にはダンボールシートに断裁を施したダンボール箱が初めて開発されます。
翌年にはダンボール箱が実際の荷物の梱包として使用されるなど、1800年代末には現在のダンボール箱に近しい梱包材が完成して、本格的に普及し始めました。
イギリスで発祥したダンボールは、主にアメリカで急速な発展を遂げたことが、ダンボールの歴史を語るうえで重要な事実となります。
1-4.【1900年代】日本初のダンボールを製造
1900年代には、レンゴーの創業者井上貞治郎によって、日本初のダンボールが製造されました。
井上貞治郎は1909年に綿繰り機から着想を得たダンボール製造機械を自ら考案して、ボール紙に段を付けたいわゆる「繰りっ放し」の製造に成功します。同氏はボール紙に段を付けたことから「ダンボール」と命名して、ダンボール製造の事業を開始しました。
国産ダンボール製造の技術的功績と名付け主であることから、井上貞治郎は通称「国産ダンボールの父」と称えられています。
1-5.【1910年~】需要の拡大と戦争の影響
日本国内でのダンボールの需要は、第1次世界大戦の影響による産業の活況や関東大震災の復興などを契機に一気に高まります。強度に優れていることや、木材・鉄の不足といった理由により、当時主流であった木箱からダンボールへの需要転換も進みました。
1915年頃までは繰りっ放しと片面ダンボールが多く使用されていましたが、両面ダンボールの製造量が増えるにつれ、食品・医薬品・化粧品などにも使用され始めます。
その後もダンボールの使用量・使用用途は増え続け、1930年代半ばにかけては蚕飼育用箱・ひな輸送箱・缶詰包装・陶磁器輸送用外装など、さまざまな用途に使用されるようになりました。
しかし、第2次世界大戦の空襲により国内のダンボール生産設備のほとんどが焼失して、ダンボール産業の発展は一度終焉を迎えます。
1-6.【1950年代】官民一体による木箱からの転換
戦後、ダンボール産業はゼロからの再出発を行うこととなりますが、戦後の経済・産業の復興に伴い急速な発展を見せます。
戦後のダンボール産業の発展が加速した大きな要因には、木材資源保護に対する官民一体による取り組みがあります。内閣主導による「木箱からダンボールへの切り替え運動」が進められたこともあり、包装資材の主流は一気に木箱からダンボールへと転換しました。
朝鮮戦争の勃発により、米国では梱包資材の80%以上をダンボールが占めている現実を目の当たりにしたことも、木箱からダンボールへの転換に拍車をかけます。
1955年頃には出荷作業の機械化や、酒類・調味料・農産物などの分野でダンボールへの転換が大きく進んだことから、ダンボール産業は急速にシェアを伸ばしました。
1-7.【1960年~】高度経済成長に伴う産業発展
1960年以降の高度経済成長期には、経済・産業が賑わいを見せたことに伴い、ダンボール産業も急激な発展を見せます。
家電製品の普及を中心とした消費の向上やダンボール製造機械の発展といった要因もあり、ダンボールの生産量はほぼ毎年2桁成長を続けていました。
しかし、1973年の第1次オイルショック、1979年の第2次オイルショックの際には一時的に成長が鈍化してしまいます。その後の経済の復興とともにダンボール産業の成長も回復を見せ、1990年には123.4億平方メートル(国民一人当たり99.8平方メートル)という生産量を記録しました。
1-8.【1990年~】多様化するニーズに対応
1990年以降、ダンボールの需要はバブル崩壊・円高・輸入商品急増といった要因により一時的に成長が鈍化しました。
しかし、その後の家電製品・IT製品・チルド食品・宅配便の普及といった日本人のライフスタイル・消費動向の変化がダンボールに対する新たな需要を生み出します。
多様化するニーズに対応したダンボール産業は再び著しい成長を遂げ、2010年頃まで安定的に伸び続けました。
2007年には、日本国内のダンボールの生産量は139.7億平方メートル(国民一人当たり換算109.3平方メートル)という記録を打ち出しています。
1-9.【2011年~】環境に配慮した新しい包装へ
近年では、ダンボールは多様化する社会のニーズを満たすだけでなく、さらにその一歩先まで進化しています。
社会全体の地球環境保護への関心の高まりを受けて、ダンボール産業においても省エネ・省資源を意識したダンボールの開発やリサイクルへの取り組みが見られるようになりました。特に、日本国内のダンボールのリサイクルシステムは非常に優れており、95%以上ものリサイクル率を誇っています。
ダンボール産業は、現在もなお進化し続けています。今後も社会のニーズに対応したダンボールが開発されて、人々の豊かな暮らしを支え続けるでしょう。
まとめ
ダンボールは、多くの方から日常的に使用されている梱包資材ですが、はじめから現在のような形状・耐久性・利便性を持つダンボールが開発されたわけではありません。英国紳士のシルクハットの通気性に端を発したアイデアが、紆余曲折の歴史を経て、ようやく現在のダンボール産業の発展に至っています。
ダンボールが発展してきた歩みを知ると、社会に必要不可欠な梱包資材として広く普及した理由も見えてくるのではないでしょうか。
ダンボール産業は現在も発展を続けています。日常的にダンボールを活用する方は、この機会に今後のダンボールの発展にも着目してみてはいかがでしょうか。